9000年前の南米アンデスに多くの女性ハンターがいた

 女性バイキング戦士の発見により、男女の役割分担に関する固定観念が学者たちの目を曇らせていたことが浮き彫りになったが、これと似た発見が、南米のペルーでもあった。

 今年11月に学術誌『Science Advances』に発表された論文によると、米カリフォルニア大学デービス校の考古学者ランダル・ハース率いる研究チームは、2018年にアンデス山脈で9000年前のハンターの骨格を発掘した。そして、その骨格が女性であると判明したという。それまで学者たちは、近代ペルーの狩猟採集民社会では「男は狩り、女は採集」という役割分担が定着していたことから、古代もそうであったと決めつけていたのだった。

 同論文ではさらに、今回の発見を機に過去のデータも見直した結果、性別が明らかな被葬者429例のうち、27例が狩猟道具とともに埋葬され、そのうち11例が女性、16例が男性であることもわかったという。

 これらの結果を踏まえ、米マイアミ大学の考古学者パメラ・ギラーは、「データはそこにあるのです。研究者たちがそれをどう解釈するかが問題です」と、歴史学・考古学界全体に通じる教訓を述べている。

【プロフィール】しまざき・すすむ/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)など著書多数。近著に『人類は「パンデミック」をどう生き延びたか』(青春文庫)、『どの「哲学」と「宗教」が役に立つか』(辰巳出版)などがある。

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