新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業を支援する「GoToトラベル」キャンペーンの案内(時事通信フォト)

新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業を支援する「GoToトラベル」キャンペーンの案内(時事通信フォト)

 群馬県内で温泉旅館を営む・添田昌美さん(仮名・60代)も、年末年始のGoTo客のほとんどがキャンセルになり、このままでは従業員への給与、毎月の電気水道代などの固定費が支払えないと頭を抱える。

「対策さえしっかりしていれば、GoToで何とか乗り切れるという希望がありました。お客様同士の接触がないように入り口を改造したり食堂に仕切りを設置したり、お風呂もお客さんごとにお湯から全部入れ替えました。消毒液もシーツも枕も、これからだという期待があったから、どうにか振り絞って100万円近くをかけて新しいものを購入したんですよ」(添田さん)

 春先を耐え、夏休みも耐え、一年で一番稼ぎ時の秋冬を迎え、ここにきてやっと「挽回」ができれば何とか宿を潰さなくて済む、そう思っていた矢先の「GoTo中止」。年越しを宿で過ごすという客も少なくなく、すでに食材の発注も終えていた。給与が少なくなっても残ってくれた従業員達も、総出で客を迎える準備をしていた。それらがほとんど無駄になった。

「数組のお客様は、GoToがなくても行くと仰ってくれました。でも、これで最後だと思います。年末年始にお客さんがこない、というだけではありません。旅行は危険、という空気があるなかで、お正月明けにGoToが再開されても、お客さんは戻ってくるでしょうか? 結局、ぬか喜びしてお金を使ってしまい、自分の首を絞めてしまったような格好です」(添田さん)

 もちろん「移動」による感染はあり得るだろうし、移動しないことで予防することも出来るかもしれない。ただ、GoToを中止するということは「旅行は危険」「旅行に行くな」と言っていることと同義だ。少なくとも観光事業者にとってはそう聞こえたはずで、彼らの努力、期待を全て無にしたに等しい。

 また、GoToトラベルの利用者、そして観光事業者側が「徹底した対策」をとり静かに観光している実態があるのに対し、GoToトラベルを中止すべきとする人達は「大人数で宴会でもしているのではないか」と考えているのだから、いつまで経っても互いの見解の溝は埋まらない。そのことを丁寧に説明しようとする人も、議論をしようとする人も、あまりに少なすぎた。遅すぎたと強い批判にさらされている今回の「政治判断」。今なお政争の具として使われている陰で、観光事業者の首を今もまだ絞め続けている現実を、誰も見ようとはしていない。

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