狛犬の由来や歴史に詳しくなるのは、魅せられたあとで十分です。「まずは造形を楽しんでください」とミノシマさん。狛犬と対峙したら、次の5つのワクワクポイントをチェックしてみましょう(カッコ内はミノシマさんのコメント)。
●顔(よく見るとそれぞれに個性的です。好みのタイプを見つけてください)
●毛並み(ポコッと盛り上がっていたり美しく流れていたり、いろんな工夫があります)
●尾(ピンと立っていたりウチワみたいだったり、じつは工夫が込められています)
●足先(指の本数や形はさまざま。動物っぽいものもあれば不思議な形をしたものも)
●台座の銘(いつごろ誰が奉納したのかを知ることで、あれこれ想像がふくらみます)
見慣れたつもりでいた近所の神社の狛犬も、あらためてチェックすると、じつは面白い顔をしていたりヘアスタイルがイカしていたりなど、たくさんの発見があるはず。奉納されるものだけに、ひとつの神社に何対もの狛犬がいることも珍しくはありません。東京の赤坂氷川神社には、個性豊かな7対の狛犬が集結しています。
同じ神社内や近くの神社にいる狛犬を見比べてみることで、それぞれの違いを実感できるでしょう。こっそりお腹をのぞいてみると、雌雄同体のはずなのに「オスの印」が付いていることもあります。地域によっては、尻上がりのだったり前足を玉に乗せていたりなど、特徴的なポーズをしているものも。
「私が狛犬沼にはまったきっかけは、浅草神社に置かれている『夫婦狛犬』です。2体とも満面の笑みで、見ているだけで幸せな気持ちになれるんですよね。『良縁』『夫婦和合』『恋愛成就』のご利益があるとされているんですが、なんと尻尾もハート形なんです。ハートマークなんてなかった江戸初期に作られたと推測されているのに」
狛犬愛あふれれるミノシマさんが強調するのは、狛犬に会いに行く際の「マナーを守る大切さ」。神社を訪れるのは、あくまで「お参り」をするためです。参拝せずに狛犬の写真だけ撮って帰るのはNG。狛犬を愛でるのは、きちんと参拝してからにしましょう。ワイワイ騒いだり、長時間独り占めしたりするのもマナー違反です。
2020年は疫病退散の力があると言われるアマビエが、いきなりスポットを浴びて人気者になりました。日本には昔から、狛犬に願掛けをする風習があります。もしかしたら2021年は、狛犬にスポットが当たる年になるかもしれません。
「狛犬の魅力を広く知ってもらいたいという意味でも、そうなるといいですね。狛犬のご利益でいちばんポピュラーなのが、各地にある『足止め狛犬』です。足に紐を結び付けることで、大切な人を繋ぎ止めておきたいという願いをかけてきました。大胆に拡大解釈すれば、ウイルスの蔓延を足止めする効果も期待できるかもしれません」
願いをどこまで叶えてくれるかはさておき、いろんな期待を込めることで、狛犬を愛でる楽しみはさらに広がります。日常を盛り上げてくれるという意味でも、世界を救ってくれるかもしれないという意味でも、新しい年は狛犬に大いに活躍してもらいましょう。