スポーツ

鶴竜と白鵬 引退拒み延命工作に走る背景に「年寄株制度」の存在

横綱・鶴竜は昨年12月にようやく帰化が認められたが…(写真/共同通信社)

横綱・鶴竜は昨年12月にようやく帰化が認められたが…(写真/共同通信社)

 引退後の力士が、親方として日本相撲協会に残るために必要なのが「年寄名跡(年寄株)」だ。その複雑怪奇な仕組みは、まさに“角界の伏魔殿”である。

「八角」「尾車」「芝田山」など105の名跡があり、襲名には協会の規程で条件が定められている。そのひとつが「日本国籍を有する者」だ。

 モンゴル出身の横綱・鶴竜は、2019年7月場所の優勝以来、休場を繰り返してきた。帰化申請がなかなか認められず、延命を図ってきたとみられている。それがようやく12月10日に帰化が認められ、年寄株襲名の条件は整った。だが、それでも複雑な“利害関係”が絡み合っているという。

「2019年9月に鶴竜の師匠である井筒親方(元関脇・逆鉾)が亡くなり、株の権利を持つ遺族は“『井筒』は鶴竜に継いでほしい”と意思を明確にしている。

 ただ、1月場所で即引退となると窮地に陥るのが、現在、『井筒』の株を借りていて、他に襲名できる株がない元関脇・豊ノ島です。鶴竜としても、同じ一門の先輩である豊ノ島を無下にはできない。横綱は引退後も5年間は現役時代の四股名のまま協会に残れるが、それにしても限度がある。1場所でも長く延命を図ろうとしていくのではないか」(若手親方)

 もうひとりの横綱・白鵬は1月5日に新型コロナウイルスに感染したことがわかり、初場所の出場は絶望的な状況だ。その白鵬もこれまで休場ばかりだが、背後にはやはり年寄株を巡る問題が見え隠れする。

「白鵬は2019年9月に日本国籍を取得したが、鶴竜と違って継承できる見込みの年寄株がない。継げる株を探すにはこちらも時間を稼ぎたいはず」(同前)

 年寄株制度の存在によって両横綱が引退を拒み、延命工作に走っているとみることができるのだ。

※週刊ポスト2021年1月15・22日号

横綱・白鵬も休場が目立つ(時事通信フォト)

横綱・白鵬は新型コロナに感染し初場所出場は絶望的(時事通信フォト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン