芸能

つちやかおり「母の認知症」と「施設に入れる罪悪感」を告白

「男性はお母さんの認知症を認めたくないのかも」

「男性はお母さんの認知症を認めたくないのかも」

 人生100年時代になり、老いと病、そして介護や認知症は誰にでも訪れる最後の戦いになりつつある。70代が90代の親を介護するといった「老老介護」も当たり前になった。だからこそ、日本は世界に先駆けて介護保険制度を導入し、すべての国民が介護の不安、家族に負担をかける不安を感じずに長生きできる社会を目指してきた。現実には家族の心身の負担は小さくないが、利用できる制度や施設を活用することで、それを軽減することは、介護する側のQOLのためにも重要だ。

 女優でタレントのつちやかおり氏は、2010年に母が認知症と診断された。それを機に2019年には「認知症ケア指導管理者」の資格を取得し、認知症や介護と向き合ってきたつちや氏は、2015年に母をグループホームに入居させる決断をした。『週刊ポスト』(2021年1月4日発売号)では、親の介護は在宅か施設か、というテーマで取材に応じたつちや氏が、同誌で伝えきれなかった娘としての思いを改めて語った。

 * * *
 母が認知症と診断されたのは2010年のことですが、その7~8年前から、私はなんとなく母の異変や不自然な点に気づいていて、おかしいなと感じていました。物忘れや、会話がかみ合わないことが時々あったのです。

 当時、父と兄が母と同居していましたが、私が「認知症ではないか」と言っても、二人とも認めようとしないのです。母はもともとおっとりした性格だったので、歳を取ったことで拍車がかかった、くらいに考えていたのだと思います。私は同居しておらず、たまに会うから異変に気づけたのかもしれませんが、それ以上に、女性と男性の違いも大きかったと思います。やっぱり男性は、「お母さん」に対してずっとマリア様のようなイメージを持っていて、認知症であることを認めたくないという気持ちが働いたのではないでしょうか。

 結局、私が病院に連れていって認知症と診断されました。母が78歳の時です。最初のうちは家で生活できていたのですが、2013年に父が亡くなると、認知症が進行していきました。徘徊なども始まっていましたし、このままでは母の命を守ることもできないのではないかと心配になり、兄に「私の都内の家の近くで暮らさないか」と提案したこともありますが、兄は受け入れてくれません。

 しかし、やがて母を一人で面倒見ることが無理だと悟ったのか、兄は自宅の近くでグループホームを見つけてきたんです。2015年に入居させた時には、もう私のことも娘だと認識できる時とできない時があるという状態でした。

 私自身、施設に入ってくれることを望んでいたのですが、いざ入居させてみると、母を見捨ててしまったような罪悪感に苛まれました。兄のほうが案外あっけらかんとしていましたね。ホームの人から「生活が落ち着くまで会いに来ないでください」と言われていた期間が一番苦しみました。1か月くらいでしたが、夜も眠れなくなり、ノイローゼ気味になりました。面会禁止が解けてようやく会いに行った時、母に「ここがお家だよ」と言っても「ふーん」という感じで、母はもうどこが自分の家なのかもよくわかっていないようでした。

関連記事

トピックス

復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
武蔵野陵を参拝された佳子さま(2025年5月、東京・八王子市。撮影/JMPA)
《ブラジルご訪問を前に》佳子さまが武蔵野陵をグレードレスでご参拝 「旅立ち」や「節目」に寄り添ってきた一着をお召しに 
NEWSポストセブン
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
オンラインカジノの件で書類送検されたオコエ瑠偉(左/時事通信フォト)と増田大輝
《巨人オンラインカジノ問題》オコエ瑠偉は二軍転落で増田大輝は一軍帯同…巨人OB広岡達朗氏は憤り「厳しい処分にしてもらいたかった。チーム事情など関係ない」
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン