(写真/PIXTA)

「…」を多用する人が増えている(写真/PIXTA)

 そのズルさは、日本人特有の気質が大きくかかわる。精神科医の和田秀樹さんが言う。

「事なかれ主義の日本人は、相手に伝える際に断定形を避けて曖昧にする特徴があります。たとえば、会議にお茶を運んでほしいときでも、『お茶を持ってこい』とは言わず、『お茶を持ってきてもらえるかな?』と相手にゆだねるような言い回しを好む。曖昧な表現をすることで責任の所在をボカし、いざ何かあったときも言い逃れできる道を残す“ビビり”の特徴です」

 意図が伝わらないどころか、三点リーダーの裏には、相手に考えさせたり、あわよくば相手のせいにしようという思惑が潜んでいるということだ。石原さんは、最後まで言いきる重要性を語る。

「『○○ですが…』ではなく、『○○ですが、いかがでしょうか?』など、相手にどうしてほしいのかをつけ加えるクセは身につけた方がいい。『こんな返事がきました…』と言われても、それを喜んでいるのか、悲しんでいるのか、相手はわからない。『こんな返事がきたから、こういう対応をしようと思います』など、行動する気があるのかどうか、最後までものを言う姿勢は特にビジネスにおいては必要です」

 しかし、三点リーダーを使った方がうまくいくケースもある。

「怒っているときは、それをはっきり書くと角が立つので『…』で曖昧にしながら不本意な気持ちを伝えた方が事を荒立てずに済む。また、直接の会話と違って、文章では『沈黙』や『間』の表現ができないため、どんどん要件ばかりを書くと圧が強くなりすぎて、怒っているような雰囲気になりかねない。適度に三点リーダーを織り交ぜた方が、テンポがマイルドになることもあります」(石原さん)

 とはいえ、使えば使うほど「はっきりしない人」の印象が強くなるため、やはりビジネスの場ではなるべく避けた方がいいだろう。

◆「w」も要注意

 では、プライベートなら曖昧な返事でも構わないかというと、そうではない。「ママ友LINE」でも、三点リーダーは人間関係を狂わせる。今年、幼稚園を卒園する娘を持つ田村夕子さん(仮名・38才)が言う。

「仲のいいママ友たちだけで何か卒園祝いをできないかと話し合っているのですが、LINEのやり取りは、『大変だよね…!(汗)』『どうする…?』『やってもいいけど…』ばっかり。やる気があるのかないのか掴みかねます」

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