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2021.01.18 16:00  週刊ポスト

呉智英氏 「表現の不自由」と闘うため日本共産党に共闘呼びかける

評論家の呉智英氏

評論家の呉智英氏

 トランプ大統領のSNS停止をめぐり、世界中で表現の自由が話題だ。評論家の呉智英氏は長年、「表現の不自由」と様々な形で闘ってきた。ここであらためて、闘うための共同戦線を呼びかける。

 * * *
『週刊文春』一月十四日号の広告ページに興味深い一文を見つけた。「イタリアのチョコブランド『DOMORI』の創業者」の協力でチョコに合う梅酒が完成したという。ラテン文字とはいえ大ぴらにDOMORIと書けるようになったのか。しかし片仮名で「ドモリ」とは書けないのだろう。チョコと障害は無関係なのだけれど。

 最近コロナワクチン開発をめぐって「二重盲検法」という言葉を見聞きすることが多い。開発中の新薬の効果を確認する際、暗示効果を排除するため、実薬と偽薬の違いを医師にも被験者にも分からないように「二重に隠して」服用させる実験方法のことだ。

 これは英語のdouble blind testの直訳である。「盲腸」も英語ではblind gut、「盲点」blind spotだ。「色盲」もcolor-blindだが、日本語の「色盲」は禁止語だ。じゃあ「色に不自由な人」とでも言うのかと思えばそうではなく「色覚異常」と言えという。なぜ「色盲」に限って禁圧されるのか。この種の表現規制は二重三重に理不尽である。

 優れた芸術作品が抹殺される例は跡を絶たない。

 木山捷平(きやましょうへい、一九〇四~一九六八)という詩人・小説家がいる。四十年ほど前には全集も出ており、今も愛読者は多い。しかし、木山の名詩一篇が現在は読むことはおろか、論じることも憚られている。現代表記に改めて全文紹介する。

『メクラとチンバ』

〈お咲はチンバだった。
チンバでも
尻をはしょって桑の葉を摘んだり
泥だらけになって田の草を取ったりした。

二十七の秋
ひょっくり嫁入先が見つかった。

お咲はチンバをひきひき
但馬から丹後へ―
岩屋峠を越えてお嫁に行った。

丹後の宮津では
メクラの男が待っていた。
男は三十八だった。

どちらも貧乏な生い立ちだった。
二人はかたく抱き合ってねた。〉

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