簡潔素朴な表現でありながら胸打たれる名品である。この詩を収録した詩集も書名は『メクラとチンバ』。古書価は数万円に暴騰しており容易に入手できない。
昨年末本欄で日本共産党が「表現の自由を守りぬく」キャンペーンをしていることを取り上げた。確かに共産党も表現の不自由に苦しめられてきたからだろう。共産党の文献には『上部構造と下部構造の跛行(はこう)的進行』なんて出てくるし、レーニンには『共産主義における左翼小児病』という著作がある。これらの基本書が「不自由」になっては由々しき事態だ。
そこで提案がある。これまで私は共産党をあれこれ批判してきた。しかし、それは水に流し、私と共同戦線を組まないか。小異を捨てて大同に就くのではない。私と共産党とでは世界観は大きく異なっているが、大異を捨てて小同に就こう。表現の不自由と闘うために!
【プロフィール】
呉智英(くれ・ともふさ)/1946年生まれ。日本マンガ学会理事。近著に本連載をまとめた『日本衆愚社会』(小学館新書)。
※週刊ポスト2021年1月29日号