ライフ

江戸東京博物館【2】「戦争の記憶と戦後の復興」に壇蜜も没頭

「風船爆弾」を前にする壇蜜と山下裕二氏

「風船爆弾」を前にする壇蜜と山下裕二氏

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜──日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京・墨田区の東京都江戸東京博物館の第2回。2人が江戸っ子の日常を垣間見る。

山下:大都会・東京の歴史と文化を伝える東京都江戸東京博物館は館内が「江戸」と「東京(明治以降)」の2ゾーンにわかれ、それぞれの時代風景を模型や豊富な資料で再現しています。

壇蜜:江戸ゾーンでは大衆娯楽で歌舞伎が紹介されていましたが、明治に入ると活動写真のお出ましです。

山下:明治36年にできた浅草「電気館」が日本初の常設の活動写真館。当時はフィルムに音声がなく、弁士が生で解説をしていました。明治23年に落成し関東大震災で倒壊した「凌雲閣(浅草十二階)」など、今は姿を消した浅草の名所も模型で復元されています。

壇蜜:タクシーが走り始めたのは大正元年だったんですね。車種はフォードだ。

山下:シボレーやフォードは大正末期から日本で右ハンドル車を生産。昭和初期には市内を均一1円で走る「円タク」も生まれ、昭和10年頃は両社製タクシーが約71%を占めました。

壇蜜:昭和は生活もグッとモダンになります。時代が進み、学徒勤労動員で女学生が作業に携わった「風船爆弾」は戦時下ですね。東京ゾーンでは関東大震災や戦争の記憶、戦後の復興の歩みも網羅されています。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●東京都江戸東京博物館
【開館時間】9時30分~17時30分(土曜は19時30分まで/最終入館は閉館30分前まで)※当面の間、土曜も17時30分閉館
【休館日】月曜(祝日または振替休日の場合は翌日)、年末年始 ※1月12日は臨時休館
【入館料】一般600円
【住所】東京都墨田区横網1-4-1

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年1月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン