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介護の主体は本人と家族 わからないことが多くてもブレないことが大切

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先の見えない介護に不安になる家族は多い(イラスト/やまなかゆうこ)

 老親、要介護者ができる限り自立した自分らしい生活が送れるように支える──家族も介護職も同じゴールを目指しているはずなのに、片や親子の情にほだされ、片や介護保険制度や仕組みに翻弄され、時には敵対関係にもなってしまう。本来は最強タッグとなるはずの両者が協力するため、家族は何を知ってどう歩み寄るべきか。家族介護者を支援するNPO法人UPTREE代表の阿久津美栄子さんに話を聞いた。

 * * *
 親の介護は先の見えない不安がつきまといます。家族に必要なのは介護の時間軸と俯瞰する視点。心情を含めてひと通りを知っている介護経験者は、誰より頼りになります。

 介護が始まった当初は介護職が何でも知っている神様のように思えるもの。難解な介護保険制度の仕組みなどにわかに理解できないので、何となく“話を合わせなきゃ”と思う人がほとんどでしょう。

 わからない専門用語も“自分の勉強不足”と無理に納得、後はお任せ。介護職の人たちとの不安がつきまとう関係はこんなところが発端かもしれません。

 老親が衰えてきたとき、まず「いままでの暮らしの喜びを維持するには」と、シンプルに考えるのではありませんか? 実はそのスタンスがとても大事なのです。

 なぜかいま、要介護になれば介護保険制度ありきで進められがちですが、親が“これからどう過ごしたいか”、家族はどう支えられるかをまず考える。

 そして、「親はこう過ごしたい。私は仕事を続けて、日曜日も休みたい。それを叶えるにはどんな方法がありますか?」と、ケアマネジャーさんに自分の言葉で相談しましょう。

 もし、わからない用語などを使われたら、「私にわかるように説明してください!」と、あくまで主体はご本人と家族です。

 家族は介護のことがわからなくて当然。介護職のプロのアドバイスに敬意は払いつつ、老親と自分の生活を軸に考える姿勢は、ブレちゃだめです。

【プロフィール】
阿久津美栄子さん/子育てと同時に親の遠距離介護をした経験から家族支援の必要性を痛感。NPO法人UPTREEを設立。認知症カフェ、caregiversカフェの運営、介護を可視化する『介護者手帳』の制作などに精力的。著書に『ある日、突然始まる 後悔しないための介護ハンドブック』(Discover21)ほか。

◆取材・文/斉藤直子

※女性セブン2021年2月4日号

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