スポーツ

田中将大が復帰した楽天、松井秀喜を取り戻せなかった巨人の違い

古巣・楽天に田中将大が帰ってくる!(2014年のメジャー挑戦時の会見。時事通信フォト)

古巣・楽天に田中将大が帰ってくる!(2014年のメジャー挑戦時の会見。時事通信フォト)

 メジャーリーグの名門ニューヨーク・ヤンキースで7シーズン戦った田中将大が8年ぶりに楽天イーグルスに復帰する。年俸は日本球界最高の9億円(推定)プラス出来高で、2年契約を結んだ。野球担当記者が語る。

「田中はワールドシリーズを制覇していなかったし、まだ脂の乗った32歳。試合数の少なかった昨季こそ3勝に終わったが、2年前までは6年連続2桁勝利を挙げている。まさか、本当に日本に帰ってくるとは思いませんでした」(以下同)

 田中は2013年、24勝0敗1セーブという文句なしの成績を上げ、星野仙一監督率いる楽天を初の日本一に導き、海を渡った。以降の7年間、チームは一度もリーグ優勝を果たせず、Aクラスも2回のみ。3度も最下位に沈んでいる。今年から指揮を取る石井一久GM兼監督にとって、田中の復帰はこの上ない朗報となっただろう。

「楽天は快く田中を送り出しましたし、オフの自主トレ期間中も練習場所を貸し出していた。復帰するかどうか全くの未知数なのに、背番号18をずっと空けて待っていた。両者の良好な関係はメジャー移籍後も続いていました。長年の誠意が、田中に伝わったのだと思います」

 日本からメジャーへ移籍した選手は数多いるが、日本球界に復帰する際、必ずしも古巣に帰ってくるわけではない。阪神の藤川球児やヤクルトの青木宣親、巨人の上原浩治などのように元の所属へ戻ってくる選手がいる一方で、新庄剛志(阪神→メッツなど→日本ハム)や福留孝介(中日→カブスなど→阪神)、西岡剛(ロッテ→ツインズ→阪神)、岩隈久志(楽天→マリナーズ→巨人)などのように球団が変わる選手も目立っている。また、松井秀喜のように巨人復帰を望まれながらもアメリカで引退する選手もいる。

「田中と違い、松井は2002年に巨人からFA宣言する記者会見で、『何を言っても裏切り者と言われるかもしれないが、いつか松井は行ってよかったと思われるように頑張るしかない』と悲壮感を滲ませていた。当時は巨人戦が毎試合、地上波でナイター中継されており、球界は巨人を中心に回っていた。今と異なり、巨人を出ていくことは相当な勇気が要ったはずです」

 野茂英雄が1995年にドジャースで成功してから、日本人選手のメジャー挑戦が本格的に始まった。ただ、打者は2001年にイチローと新庄剛志が初めて契約したばかりで、投手も含めて巨人から飛び出す選手はいなかった。まして川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、原辰徳と伝統のある巨人の4番を捨てることは、オールドファンの価値観に背くことでもあったのかもしれない。

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン