うちの地域は私立中学より、都立の中高一貫校を受験する子が多いんです。都立校は感染者への追試験は行われず、この時期に感染したら、その時点で受験終了。検温で37.5℃以上あったら試験会場から追い出される。感染者は受験を終わらせる“地獄の使者”なんです」

 亡くなった女性は、死を選んだ方が楽だと思えたほど追い詰められたのだろうか。

 コロナ禍で女性の自殺者数が増えている。2020年の自殺者数(速報値)は男性は前年から微減(135人減)したが、女性は6976人で前年から885人増えている。精神科医で茨城県精神保健福祉センター長の佐々木恵美さんのもとには、主婦からの相談が増えているという。

「家族が自宅で過ごす時間が長くなり、家事など主婦の負担は増えています。昨年の臨時休校の再開後に、不登校になってしまった子供の相談も増加しました。こうしたさまざまな要因が重なり、女性の中でも特に子供がいる母親が大きなストレスを抱えているんです。その状況で感染してしまうと、不安に押しつぶされてしまうかたも少なくはないようです」(佐々木さん)

 もし感染してしまったら、どのような「心の保ち方」をするべきなのか。

「日本では感染者への差別や攻撃が起きやすく、亡くなったかたのように“周囲に迷惑をかけてしまった”“申し訳ない”と思ってしまう人も多い。しかし、どんなに気をつけていても感染は起こり得る。感染しても自分を責めずに、“悪いのはウイルスだ”と思うように心がけてください。つらいときはひとりで抱えず、周囲や公的機関などに相談してください。ママ友など周りの人が感染した場合も同様に、責めたりせずに、あたたかい言葉をかけてあげてほしい」(佐々木さん)

 もはや、いつ誰が感染してもおかしくはない。正しい知識と思いやりの心を備えておきたい。

※女性セブン2021年2月11日号

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