堀氏は今の日本には「商売人」気質と「スピード感」が必要だと指摘した(時事)
では、余った7億4000万回分はどうするか。ワクチン調達が遅れている東南アジア各国にODA(政府開発援助)として送ってあげればいい。ODA予算は年間1兆5000億円規模で、それだけあれば10億回分の調達は十分に可能です。スピード感を重視するなら値切らない。盛田氏だったらファイザーに、「イギリス、フランスにはいくらで売りましたか? ならば日本はそれより高く買う」と言うでしょう。
そのかわり、まず国民への1回目の接種のために1億3000万回分を4月末まで、さらに1億3000万回分を5月末までに必ず納入すること、という条件をつける。そうすれば、5月末までに日本人全員が2回の接種を終えることができる。残りは6月以降、普通のペースで届けてくれればいい。
もちろん商売人だからソニーのビジネスも考えるでしょう。冷凍庫の開発が技術的に難しければ、例えばソーシャル・ディスタンスを支援する機器などを売る。最近の製品なら、ワイヤレス・スピーカーを活用し、家の中でも家族が距離を保ちながら音楽やテレビを一緒に楽しめるようにするかもしれません。それもODAの一部としてワクチンと一緒に東南アジアに配布すれば、国民の命を救い、各国や国際社会に恩を売りながら、ちゃっかりソニーの利益も確保できる。盛田氏は、そういう器量を持った経営者でした。