そんな松坂の姿に劔氏は“プロの役者”としての佇まいを見て取る。
「松坂さんはあれだけの俳優でありながら気取ったところが全くないというか、これが性格も二枚目なら『松坂桃李がいますよ』というオーラがどうしても出ると思うのですが、全くそれがありません。だからモーニング娘。のファンの中でも浮かなかったのだろうし、どんな役にでもなれる役者さんなのだと思います」(劔氏)
主演の松坂桃李をはじめ、その他の出演俳優から原作者、そして監督、脚本、音楽、美術などのスタッフに至るまで、誰もが一流でありながら“気取らない”というところが、映画『あの頃。』そのものの最大の魅力でもあるかもしれない。その意味では“ハロプロ”に全く馴染みのない人にとっても、存分に楽しめる娯楽作品となっていると言えるのではないだろうか。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)