首が前に傾いたり、逆に後ろに反ったりしてしまうと、重量のある頭を支える際に、大きな負担が首と肩にかかる。また、できればパソコン画面や書類との距離を自在に変えられるキャスターつきのいすを使うことで正しい姿勢を崩さず前後に動ける。
「パソコン作業をしたり、本や書類を読んだりする際も、その姿勢をキープすることを意識してください。特に首を強く前傾させないことは重要なポイントです。視線だけを下方に動かして伏し目がちに作業すれば、首こりになるのを避けられます」
また、一見だらしないと思われるような姿勢が、病気を遠ざけるケースもある。
東京女子医科大学で高血圧・内分泌内科教授を務める市原淳弘さんは血圧を下げる座り方として後ろにふんぞり返った「王様座り」を推奨する。
【血圧が下がる「王様座り」】いすに深く腰かけ、王様のようにふんぞり返って座る。仕事や作業の最中、1時間に1回、5分程度取り入れるとよい
「スマホやパソコンを長時間使用する生活には、高血圧リスクが潜んでいます。首の延髄には『血圧調節中枢』があり、画面を見てうつむいて過ごす時間が長くなると、その部分への血液の循環が悪くなる。すると血圧調節中枢の働きが鈍くなり、体が危険を感じて血圧を上げようと作用してしまう。それを解消してくれるのが王様座りです」(市原さん)
この姿勢は1日に数回、短時間行うことで効果を発揮する。
「テレワークなどで長時間座っているときに、1時間に1度、5分ほどいすに浅く腰かけ、王様のようにふんぞり返って座る時間を作ってください。この姿勢を作ることで血流がスムーズになり、下半身の静脈血が心臓に戻りやすくなったり、筋肉の緊張が解けて緊張を司る交感神経への刺激が軽減したりする。浅くなった呼吸も改善され、血圧が上がりにくい体になります」(市原さん)
まずは体の力を抜くところから始めたい。
イラスト/あべゆきこ
※女性セブン2021年3月4日号