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鈴木健吾のマラソン日本新は「悲劇の大記録」に終わるのか

大幅な記録更新も鈴木の代表入りは叶わない(時事)

大幅な記録更新も鈴木の代表入りは叶わない(時事)

 2月28日に行われた「びわ湖毎日マラソン」は、富士通所属の鈴木健吾が日本記録を33秒上回る2時間4分56秒という驚異的な日本新記録で優勝した。アフリカ出身選手以外で2時間5分を切ったのは史上初の快挙。25歳という年齢からも、今後がますます楽しみな新しいエースの誕生である。

 しかし、ファンとしては残念な気持ちも拭えない。東京五輪のマラソン代表は、すでに1年前に決まっている。2019年のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で優勝した中村匠吾と2位の服部勇馬、同3位で基準突破組のなかで持ちタイム最上位だった大迫傑が代表に決定しており、補欠2名もすでに決まっている。鈴木はMGCでは7位だったが、その前年から故障に苦しんでいた経緯もあり、今回の快走を見ると、もう少し才能の開花が早ければ……と想像せずにはいられない。

 スポーツライターの酒井政人氏は、鈴木のポテンシャルを高く評価する。

「鈴木選手は神奈川大学時代からマラソンをやっていて、4年連続で出場した箱根駅伝でも、3年時に『花の2区』で区間賞を獲るなど長い距離に強かった。実業団3年目ですが、故障を克服した2年目以降はスピードをつけていて、大学時代の1万メートルのベストタイムは28分30秒だったが、現在は27分49秒まで縮めている。スピードにゆとりがあり、ウェイトトレーニングによって上半身がしっかりして、後半にフォームが乱れることもなくなっている」

 区間賞を獲った箱根では、5位でタスキを受けてトップ集団に追いつき、権太坂を過ぎた後半にスピードアップしてトップで3区につなぐという後半に強いところを見せたほか、4年時の全日本大学駅伝では、最長区間の8区で同大20年ぶりのゴールテープを切るなど、長距離でのスピードレースにも実績がある。近年、日本の男子マラソンはスピード不足が課題とされてきた。国際レースでは、前半はトップ集団に何人も日本人選手が入るものの、ラストスパートで外国人選手に置いていかれて悔しい思いをしてきたファンも多い。スピードレースは歓迎、距離は長いほどいい、という鈴木には大きな期待が膨らむだけに、オリンピックに出場できないことは残念だ。

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