カウンターの奥では、大先輩組が冬の名物粕汁をアテに酒をぐびっと飲んでいる。
“大先輩”と慕われている昔なじみの常連客の姿も
名物の粕汁、だし巻卵は絶品と評判
「日曜は休みやから週6な、昼下がりに来とる。この店は庶民的で気兼ねせんでええねん、お気楽に飲めるってことやな。お姉さん(冨美子さん)の煮炊きもんがうまいねん。この人らと囲碁やら将棋やらの話してな、同好会みたいなもんや」と70代氏が軽快に語ると80代氏らも笑顔で頷く。
「お姉さんの料理が好きで通ってます。昭和18年生まれ、母と同い年だから覚えてるんです。冬はこの粕汁が最高ですよ、しっとりして温まる」(50代、金融業)
「ほんま、粕汁うまいわ。こんにゃく、にんじん、ちくわも入っててな、好きやな。店先やカウンター、トイレにもな、お姉さんが1輪挿し飾ってはってな。そういうちょっとした気遣いが心に染みるわ」(同前・70代氏)。
あらゆる世代がくつろぎ幸せな笑顔が溢れるこの店で、祖母や両親、叔母の働く姿を見てきた4代目の正幸さんは、
「愛される店というのは、その人の生活の一部になっとると思うんですよね。お客さんの24時間のうち2~3時間はうちの店にいてはる。お客さんの人生の中にうちの店があるんやないかな」と胸を張る。
熱々のだし巻卵が辛口の『焼酎ハイボール』の味わいを引き立てる
注文が入るとカウンターの奥で正幸さんが1つずつ心を込めて焼き上げるだし巻卵も評判だ。
「卵焼きといっても甘くないのがいい。熱々でだしがジュワっと染み出してうまい。すっきりして料理の味を引き立てる『焼酎ハイボール』によう合うね」(50代、金融系)
(2020年11月25日取材)