芸能

韓国で広がる「暴too」芸能人のいじめ「若気の至り」で済まない理由

壮絶ないじめを暴露されたバレーボール女子韓国代表選手・イ・ジェヨンとダヨン姉妹(写真/AFP=時事)

壮絶ないじめを暴露された韓国のバレーボール女子代表選手・イ・ジェヨン(左)とダヨン姉妹(写真/AFP=時事)

  韓国の放送・芸能界が大きく揺れている。韓国のアイドルや俳優らが学生時代に行ったとされるいじめ疑惑が次々と浮上し、業界全体を巻き込んだ大騒動に発展。SNSでは、いじめを告発する「暴too(暴力 me too)」運動が急速に広がっている。なぜこれほど大きな社会現象と化したのか、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

 * * *
 韓国のSNSで、「暴too」という学生時代に受けたいじめを告発する動きが広がっている。発端は2月7日、東京五輪のバレーボール女子代表選手、イ・ジェヨンとダヨン姉妹による過去の壮絶ないじめが発覚したこと。CMなどにも出演するスター選手だったこともあり、騒動は拡大。2人は謝罪したものの、代表の資格を剥奪される事態になった。

 だが、世間が受けた衝撃は大きく、「暴too」は芸能界にも飛び火。最も問題となっているのが、韓国公営放送局(KBS)だ。KBSの新ドラマ『DEAR.M』の主演女優パク・ヘスに、学生時代にいじめを受けたと主張する被害者が次々と現れ、同局は2月26日、ドラマの放送開始の延期を発表した。またKBSは、今春から新しく始まるバラエティー番組『カムバックホーム』も、初回放送分の収録直前にレギュラーの出演者を入れ替えた。こちらも理由は、学生時代に行ったとされるいじめ疑惑が浮上している俳優のチョ・ビョンギュが出演者の1人だったからだ。

 このほか、韓国文化放送局(MBC)も、16年目を迎える人気歌番組『ショー!K-POPの中心』の進行役だった8人組男性グループ「Stray Kids」のメンバー・ヒョンジンを、いじめ加害者疑惑で急遽入れ替える事態に。ケーブルテレビのオーディション番組でも、番組の途中で出演者が自発的に降板するケースも見られた。

 これらは全て、出演者が学校暴力の加害者だったというSNS上の告発が引き金だ。韓国の「学校暴力」の予防及び対策に関する法律によると、学校暴力とは「学校内外で学生を対象に発生した障害、暴行、監禁、脅迫、略取・誘拐、名誉棄損・侮辱、恐喝、強要・強制的なお使い及び性暴力、仲間外れ」などのこと。つまりは「いじめ」である。2月に入り、韓国のSNSで有名なK-POPアイドルや新人俳優らを名指しして、「学校暴力の加害者」だったと告発する被害者らの書き込みが相次いでいるのだ。

 名指しされたアイドルや俳優らの多くは加害者疑惑を全面否定しているため、本当に加害者だったか断定できない状況だ。しかし、こうした状況が取り沙汰されている以上、テレビ局としてはそのまま出演させるわけにはいかない。KBSの場合、「視聴者権益センター」という視聴者掲示板に「公共の価値を重視する公営放送として、加害者疑惑が明白になるまで『DEAR.M』の放送を延期すべき」と2100件を超える抗議の書き込みがあったという。もし何事も無かったように放送すれば、「KBSは学校暴力を深刻に受け止めていない」としてさらなる抗議を招く可能性があるが、だからといって疑惑だけで降板させるわけにもいかず、いったん放送延期や出演保留という形で対応せざるを得ないのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
バラエティー番組『孝太郎&ちさ子 プラチナファミリー 華麗なる一家をのぞき見』
コシノ三姉妹や石原4兄弟にも密着…テレ朝『プラチナファミリー』人気背景を山田美保子さんが分析「マダム世代の大好物をワンプレートにしたかのよう」
女性セブン
“アンチ”岩田さんが語る「大谷選手の最大の魅力」とは(Xより)
《“大谷翔平アンチ”が振り返る今シーズン》「日本人投手には贔屓しろよ!と…」“HR数×1kmマラソン”岩田ゆうたさん、合計2113km走覇で決断した「とんでもない新ルール」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン