全国高校サッカー選手権大会は変則的ながら開催できた。Jリーグも再三の延期を繰り返しながら日程を消化した。それぞれの団体、それぞれの立場で明暗が分かれた形だが未曾有の疫病禍、これは仕方がないだろう。しかし、すでに1年以上の自粛を一般国民が耐え忍ぶ中、降って湧いた日韓戦、納得できない国民は多い。
「わかります。でもね、日産スタジアムはもう予約してましたからね、イベント屋目線ですが、何でもいいから開催しないと穴が開く」
楽しいイベントがひとつでも多い方がいい
市橋さんの言う通り、3月25日の日産スタジアムではW杯カタール大会アジア2次予選のミャンマー戦が予定されていたが、ミャンマー国内の政情不安を理由に延期の要望が出されていた。2月の段階でアジアサッカー連盟(AFC)がそれを受理したために3月25日の予定が飛んだわけだが、そこに日本サッカー協会は日韓戦をぶっ込んで来た。
「豪腕ですよね、凄いと思います。まず穴が空いたから代わりに日韓戦というところが凄い。日韓戦は親善だろうがなんだろうがドル箱ですからね」
どんなスポーツでも日韓戦なら”永遠のライバル”という使い古されたキャッチコピーが踊る日本と韓国の試合、常にとんでもない盛り上がりを見せるのは事実だ。とくにサッカーに対する、いや日本戦に対する韓国の入れ込みは尋常ではない。ましてや歴史背景も含めて基本、険悪な姿勢を崩せない韓国にとって、国威発揚の一大イベントでもある。
「韓国は大フィーバーですよ、日本もなんだかんだ盛り上がってるみたいですし、いい感じに”燃える”でしょう」
対戦成績も国際Aマッチに限れば40勝23分13敗と韓国が圧倒的にリードしている。韓国にとって野球、ラグビー、バレーボールと日本にリードされてきた競技より思い入れは強い。日本にとってもいろんな意味で意識する相手、確かに”燃える”炎上案件だ。
「日本サッカー協会も韓国がOKするとは思わなかったんじゃないですかね、どんな力が働いたか知りませんが、声かけてみるもんですよ」
そう、この急転直下の日韓戦を打診したのは日本側だ。日本サッカー協会が韓国サッカー協会にお願いをして実現した。国際親善試合としては10年ぶりの日韓戦が、緊急事態宣言下(3月10日時点)にある神奈川県横浜市の日産スタジアムで決まった。韓国の選手とスタッフ、関係者の一団は千葉県の成田空港か、東京の羽田空港かはわからないがやってくる。