元・時津海のスキャンダルで事態は大きく動いた(時事)

元・時津海のスキャンダルで事態は大きく動いた(時事)

 年寄株の絶対数が不足するなか、「間垣」はどこから出てきたのか。これは、初場所中に雀荘や風俗店に出入りしていたことが発覚して2月に退職に追い込まれた時津風親方(元前頭・時津海)のスキャンダルによるものだ。「時津風」は部屋付き親方だった元前頭・土佐豊が襲名し、その元土佐豊が持っていた「間垣」が協会預かりになったのである。

 若貴ブームの時代には3億円といった高額で売買されていた年寄株だが、7年前に日本相撲協会が公益法人化する際に売買は禁じられたはずだ。制度的には105ある名跡を協会が管理し、名義変更の際に金銭で売買することは禁止された。しかし、実際には名跡を襲名した親方が、その前に名跡を持っていた親方に顧問料などの形で金銭を支払うことは許されており、今も「親方」の地位はカネで買う慣行が残っている。一時は下落した取得にかかる資金の相場が、年寄株不足によって再び高騰し、億単位のカネが動くといわれる。今回の「間垣」に関していえば、スキャンダルで退職した元・時津海が事実上の「所有者」の位置づけになる。

 言うまでもなく「間垣」は時津風一門の株。、時津風部屋は功労者の元関脇・豊ノ島が継承する株を見つけられずに「井筒」を借りている状態だし、所属力士には大関・正代や部屋の伝統の四股名を襲名した平幕力士・豊山もいる。それゆえ簡単に一門外に流出させまいと阻止する動きも出てくる可能性があるが、事実上の所有者の元・時津海が不祥事で協会を追われた立場である以上、何が起きてもおかしくない。

また、年寄株を継承するためには年寄資格審査委員会の承認を経て、理事会で認められなければならない。“4か月間、1200万円の有給休暇”に入った白鵬が年寄株の取得に至るのか。 『週刊ポスト』(3月19日発売号)では関係者の思惑や駆け引き、さらに「間垣」が「呪われた株」と呼ばれる複雑な歴史について詳報している。

 それにしても、相変わらずのカネ、カネ、カネの角界体質。好角家が見たいのは、そんな“大相撲”ではない。

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