ディフェンスにも注目
ピッチャーと鉄壁の二遊間を中心としたディフェンスに重点を置いているチームにあって、エースの坂本安司(あんじ)投手(3年)が注目してもらいたい球児です。東浜巨(沖縄尚学‐亜細亜大‐現・福岡ソフトバンク)と田村伊知郎(報徳学園-立教大-埼玉西武)、根尾昂(大阪桐蔭。現・中日)を足して3で割ったような、とにかく面構えの良い選手なんですわ。
秋までの直球の最速は139キロということですが、ブルペンを横から見ていると、とても重たそうなボールで、もっと速く見える。冬の地獄のトレーニングを経ていよいよ140キロ台に達しているはずです。
また昨秋の九州大会決勝で、選抜でも大会3日目の第2試合で対戦する福大大濠を相手に完投し、勝利投手となった新2年生の勝本晴彦投手も左の好投手。181センチの身長で、直球と変化球で腕の振りが変わらないプロのスカウトが好むようなタイプです。
島の野球場で練習する大崎は、沖縄県の石垣島から出場し、2006年春夏の甲子園を盛り上げた八重山商工が思い起こさせます。監督のキャラクターはぜんぜん違いますけど(笑)、この小さな島の球児たちがどこまで勝ち進むのか興味深い。
大崎同様に、ダークホースとなる可能性を秘めているのは、昨秋の東京大会を制した東海大菅生ではないでしょうか。同校には本田峻也投手(3年)という左腕がいます。インステップ気味に踏み込んでいく、佐野日大(栃木)時代の田嶋大樹(JR東日本‐現・オリックス)のような独特のフォームで、相手の左打者は背中側からボールがストライクゾーンに飛び込んでくるような感覚に陥るのではないでしょうか。個人的に、大会ナンバーワンの左腕は、本田投手か、北海高校(北海道)の木村大成投手(最速145キロ、秋の公式戦防御率は0.34)ではないかと思っています。
その東海大菅生が大会5日目の第1試合で対戦するのは、甲子園初出場となる聖カタリナ(愛媛)です。愛媛からの選抜初出場校と聞いて思い出すのは1988年の宇和島東、2006年の済美。いずれも初出場・初優勝を飾っています。済美は女子校から共学となって3年目で快挙を達成していますが、聖カタリナも2016年に女子校から共学になったばかり。何かが起きそうな予感がします。
東海大系列の学校といえば、今大会では大会2日目の第3試合で、東海大相模対東海大甲府の“タテジマ対決”が実現しました。関東大会の準々決勝でも両校は対決して、2‐1で甲府が勝ちましたが、果たして……。きっと2002年夏の智弁学園対智弁和歌山のような盛り上がりとなるのではないでしょうか。僕はメロディーが同じの東海大系列の校歌が好きなんですけど、どちらの校歌が試合後に流れるのでしょうか。