筆者は以前、SNSを使った犯罪について取材する過程で、全く同様のことを「強盗組織」が行っているという実態を目にしたこともある。SNSを通じてターゲットの属性、生活パターンを洗っては、安全に強盗に入ることができるタイミングを見計らう。被害者は自身のSNSを強盗がチェックしているとは夢にも思わないだろう。そのことを思い返しても、やはりSNSは情報の宝庫であり、その情報を使い、悪意あるものたちが跳梁跋扈している現実があるのだ。
「新入生狙いだけでなく、成人式の前後には新成人ツイートを集めて吟味する。未成年でなくなっているから金も借りられるし、ローンだって組めるからマルチ系をやっている人間からすると格好のターゲット。コロナでパーティーや飲み会ができず勧誘の機会が減って若者はどんどんSNSに依存しているから、この手法は、どんどん拡大していくでしょうね」(本田さん)
疑心暗鬼になって、全てのSNSを使わない方が良い、とは言わない。だが、社会経験の乏しい未成年や新社会人、強烈な不満を持った人は、誰にも言わない本音をSNSに書き込みすぎてしまう場合も多いことを考えると、やはり使い方には気をつけた方がいい。匿名であれば大丈夫、なのではなく、匿名だからと気を許してしまうと自身の「隙」が生まれ、悪意をもった人につけ込まれることがあるのだと、しっかり肝に銘じておく必要があるだろう。