デベロッパーが郊外開発に及び腰になるワケ
では、これからどうなるのか? マンションデベロッパーは郊外でのマンション開発にはますます及び腰になるはずだ。その理由はいくつかある。
何よりも、今よりも安く供給することが難しいのだ。新築マンションの売り出し価格は原価積み上げ方式で決まる。原価を構成する最大の要素は「建築費」である。建築現場の慢性的な人手不足は解消されてないから、当面建築費が下がる見通しはない。
その次の土地の仕入れ価格であるが、郊外と言えどもコロナ不況によって土地の価格が短期間で下落するとは思えない。業界大手の三井不動産などは、今後物流施設の開発に注力するという方針を示している。郊外の物流施設用地需要とマンション用地需要は、ある程度バッティングする。だから土地価格は下がりにくい。
そもそも住宅需要に連動する世帯数は、どの大都市圏でも減少に転じる。東京でも数年以内に減り始めるだろう。そう考えれば、これまでのように大都市の郊外に新築マンションを開発する必要はなくなるのだ。
郊外の新築マンション市場は、数年後に雲散霧消している可能性が高い。