その後、核家族化が進み、家族の行動パターンが多様化し、スマホが普及するなど、「家族そろってテレビを見る」という機会は徐々に減っていきました。しかしコロナ禍の現在は、在宅ワークの増加で、「家族で晩ご飯を食べる機会が増えた」という声を聞くようになっています。
そのとき家族それぞれが見ているのは各人のスマホではなく1台のテレビ。だからこそ「父親向け」「主婦向け」「子ども向け」ではなく、一緒に見られる「家族向け」の番組が必要であり、19~21時台に放送できる企画が求められているのです。
民放各局としては、ゴールデンタイムで放送できるアトラクション型ゲームバラエティを1本でも多くほしいところ。冒頭に挙げた番組の中にも今後レギュラー放送に昇格するものがあるかもしれません。
ただ、アトラクション型ゲームバラエティは、人口の分母が大きく、視聴率を大きく左右する中高年層の支持を得られにくいため、「視聴率獲得」という観点では難しいところがあります。「ファミリー層の個人視聴率を獲れているから、全体の個人視聴率が低くても気にしない」。そんな割り切りがアトラクション型ゲームバラエティの定着やブームを左右するのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。