「間垣」を襲名していた二代目若乃花(写真/共同通信社)
一代年寄に!?
その「間垣」が、言動を問題視されることの多い白鵬に回ってくるというのだから因縁深い。
本来であれば、著しい功績があった横綱には現役時代の四股名のまま親方になれる「一代年寄」の制度がある。過去に認められた大鵬、北の湖、千代の富士(辞退)、貴乃花を数字の上では凌ぐ白鵬だが、「立ち合いのカチ上げなど、品行面で問題ばかりだから認められないだろう」(前出の協会関係者)とみられてきた。
「場所前には、年寄株不足もあるし、一代年寄を認めることで白鵬に恩を売り、執行部に反発しないようにするという情報もあった。ただ、今場所の休場には場所後の横審で相当厳しい意見が出る。協会は白鵬についての判断を先延ばしにするだろう」(前出のベテラン記者)
公益財団法人の構成員を決める制度でありながら、カネが動き、組織内の権力闘争に利用されているというのである。
協会に白鵬の「間垣」取得情報について問うたが、回答はなかった。
2011年に協会の公益財団法人化に向けた改革案を答申した「ガバナンスの整備に関する独立委員会」で副座長を務めた慶応大学商学部の中島隆信教授はこう言う。
「結局、現時点での構成員が借金してでも年寄株を購入したような人たちばかりなので、自分が手放すときは売らないと元が取れないという悪循環に陥っている。
私たち独立委員会が議論をしていた当時、(年寄株の)金銭的な取引は望ましくなく、協会が適切な人に渡していくべきだと答申しました。しかし、10年経っても本質的な部分は何も変わっていない」
休場ばかりで延命を図る白鵬が協会に残れるのか。背後には様々な思惑が蠢いている。
※週刊ポスト2021年4月2日号
年寄株(写真/共同通信社)