貴乃花も2001年7月~2002年7月の間、7場所連続で全休(時事通信フォト)
引退後も協会に残るのに必要な「年寄株」を巡る問題も白鵬の行動に影響を及ぼす。本誌は前号で、初場所中のスキャンダルが発覚して時津風親方(当時、元前頭・時津海)が退職に追い込まれたことで、「間垣」が空き名跡となり、白鵬が取得に動いている情報を報じた。
「横綱については引退後5年間、現役名で協会に残れる特例があるものの、白鵬は5年後に継げる株を確保できていない。そこで、協会を追われるように去った元・時津海が『間垣』を白鵬に譲る話が取り沙汰されたが、ここにきてまた状況は動いている。元・時津海の長男が5月場所で新弟子検査を受け、時津風部屋に入門することが固まった。そうなると、一門外への流出を嫌がる時津風部屋の意向には逆らいにくい。一門が違う白鵬は、今回も株を手に入れられないのではないか」(同前)
さらなる延命が必要ななか、格好の口実となる「前例」がある。元横綱の貴乃花と稀勢の里(現・荒磯親方)だ。
ハワイ勢と対峙して一大ブームを巻き起こした貴乃花と、2017年にモンゴル勢が上位を席巻するなかで19年ぶりの日本出身横綱となった稀勢の里は、どちらもキャリア終盤に長期休場があった。
貴乃花は7場所連続で全休(2001年7月~2002年7月)、稀勢の里は全休4場所を含む8場所連続休場(2017年5月~2018年7月)だ。白鵬が来場所を休んでも、6場所連続休場(全休は3場所)で、2人の休場記録よりも短い。
「白鵬側からすれば、日本人横綱に許されて、モンゴル出身者には許されないのか、という話になる。白鵬は東京五輪に執念を持っており、開会式で土俵入りをしたいと言い続けてきた。東京・墨田区の聖火ランナーにも選ばれており、7月19日に走る予定。7月場所の千秋楽翌日だから、1場所休んで劇的に復活し、トーチを掲げるつもりではないか」(ベテラン記者)
※週刊ポスト2021年4月9日号
稀勢の里は2017年5月~2018年7月の間、全休4場所を含む8場所連続休場(時事通信フォト)