国内

2つの受賞で訪米前に菅首相を苛立たせるアメリカの安倍人気

アメリカではいまだ安倍人気が健在(AFP=時事)

アメリカではいまだ安倍人気が健在(AFP=時事)

 名横綱の後の横綱はやりづらい。しかも、その名横綱が引退した後も国際舞台でちやほやされているとなると、なおさら心穏やかではあるまい。

 安倍晋三氏が本当に「名横綱」だったかどうかは別として、おそらく4月9日にワシントン入りする菅義偉・首相はそんなふうに感じているだろう。訪米を前に安倍氏と半年ぶりに会談して「おうかがい」を立てた菅首相は、新型コロナウイルス対策では失敗続き、長男が絡む一連の総務省スキャンダルでは右往左往。それを尻目に、勇退した安倍氏は悠々自適の静養期間を楽しんでおり、ついには「首相再々登板」説まで流れている。「桜を見る会」問題で118回に及ぶ虚偽答弁をしていた安倍氏が、昨年12月には国会に引きずり出されて謝罪に追い込まれたのも今は昔、海外での人気をてこに「安倍外交」を復活させている。

 最初に救いの手を差し延べたのは、盟友だったドナルド・トランプ大統領(当時)。上記の謝罪を目前に控えていた安倍氏に「レジオン・オブ・メリット」(最高勲功章)を授与して援護射撃した。同賞は、アメリカでは最も栄誉ある「大統領自由勲章」に次ぐ高位の勲章で、陸海空海兵沿岸警備隊5軍の将兵のほか、外国政治家にも贈られる。

 そしてさらに、ジョー・バイデン大統領の就任60日目の3月22日には、今度は米有力ロビー団体であるユダヤ系財団から「ワールド・ステーツマン賞(世界政治家賞)」が安倍氏に贈られた。その財団とはホロコースト生存者で篤志家、人権活動家のラビ・シュナイアー氏(91)が1965年に設立した「アピール・オブ・コンサイエンス財団」(良心に訴える財団)で、世界平和に貢献してきた世界の指導者や企業のトップを毎年表彰してきた。同財団の実情に詳しい情報通がこう語る。

「一般にはそれほど知られていない賞かもしれないが、欧米の政教界では影響力がある。シュナイアー氏の下には世界中の富豪から寄付金が集まり、集めたカネの多くを人事政策に費やすことで有名だ。それがまた集金力につながる。カネと人脈を活かしてアメリカを軸とする自由民主主義陣営の結束を図ってきた功績は大きい」

 これまでに「世界政治家賞」を受賞した政治家は、安倍氏のほかに旧ソ連のミハエル・ゴルバチョフ元大統領、英国のマーガレット・サッチャー元首相、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官など錚々たる顔ぶれだ。

 バイデン大統領も安倍氏の受賞に直ちに祝辞を送って、「世界への貢献と、日米同盟をはじめとする国際関係への安倍氏の長年の協力に改めて感謝の意を表する」と讃えた。犬猿の仲のトランプ、バイデン両氏が安倍礼賛では足並みを揃えた形だ。先輩受賞者であるキッシンジャー氏も、「安倍氏の指導の下、日本は国家と経済の成長を果たした。安倍氏は東アジアの経済発展と平和の鍵である日米友好に貢献した」と手放しの褒めようだ。

関連記事

トピックス

所属事務所は不倫を否定(時事通信フォト)
《星野源と新垣結衣が完全否定》「ネカフェ生活」NHK・林田理沙アナとの疑惑拡散の背景「事務所が異例の高速対応」をした理由
NEWSポストセブン
幼稚園をご訪問され、子供たちに声を掛けられた天皇陛下
天皇皇后両陛下が幼稚園をご訪問 工作の様子を見守られ「どんなものができるのかな」と笑顔で声をかけられる場面も
女性セブン
杉咲花と若葉竜也に熱愛が発覚
【初ロマンススクープ】杉咲花が若葉竜也と交際!自宅でお泊り 『アンメット』での共演を機に距離縮まる
女性セブン
5月に入り病状が急変し、帰らぬ人となった中尾彬さん
【中尾彬さん逝去】数か月体調優れず、5月に入って容体が急変 葬儀は近親者のみ、妻・池波志乃さんは憔悴しながらも参列者に感謝
女性セブン
スキャンダル写真で芸能界を震撼させた『BUBKA』
《90年代アイドルを震撼させた月刊誌『BUBKA(ブブカ)』》の創刊編集長が急死していた スキャンダル写真で物議「スクープ100万円」「複数訴訟」の全盛期
NEWSポストセブン
新しいヘアースタイルの大谷翔平
《大谷翔平の新ヘアスタイル》“切ってもらうと成績が向上する”と評判の美容師が担当 ソウルで水原被告と一緒にカット、料金は大谷が支払う
女性セブン
全国赤十字大会ではスピーチに目を潤ませる場面もあった(4月、東京・千代田区。写真/JMPA)
『虎に翼』を楽しんでいらっしゃる雅子さまと愛子さま 女性天皇への期待高まるなか、揺れるお立場に「日本初の女性弁護士の物語」を重ねられて
女性セブン
女子ゴルフ界の新星として注目を集める清本美波
【プロテストでトップ合格】女子ゴルフ界の新星・清本美波、女子大生と二足のわらじを履く18歳「目標はタイガー・ウッズ」
週刊ポスト
フリーになるも苦戦が続く上重聡アナ
《超大型連休続く?》元日テレ・上重聡アナ、「交渉しまして」古巣復帰の苦境 根強い“利益供与問題”のイメージ、自虐ネタに活路か
NEWSポストセブン
詐取の疑いで逮捕された元宝塚“大滝子”こと光原エミカ(HPより)
《『水ダウ』ざます企画に出演》元宝塚・月組トップスターが現金1000万円詐取の疑いで逮捕「ディナーショーが8万円に値上がり」ファンが察知した違和感
NEWSポストセブン
亡くなったシャニさん
《7か月を経て…》ハマスに半裸で連行された22歳女性が無言の帰宅、公表された最期の姿「遺体の状態は良好」「肌もタトゥーもきれいに見える」
NEWSポストセブン
中尾彬さん(時事通信フォト)
《“ねじねじ”で愛された中尾彬さん(81)が急逝》大病を機に始めていた“終活”、コワモテ俳優からコメンテーターとして人気を博した晩年
NEWSポストセブン