第一話「クモの糸」は、芥川龍之介の名作『蜘蛛の糸』が原作だ。原作ではお釈迦様が、地獄にいる盗賊のカンダタに蜘蛛の糸をたらすという流れだが、ドラマの舞台は少年刑務所。過酷な環境ながら、同室の少年たちとだらだらと過ごす神田(黒田光輝)は、なぜか猫に縁があり、ある日、刑務所の壁に垂れ下がる白いひもを見つける…。
太宰治の『走れメロス』をもとにした第二話「メロスを待つ男」では、メロスの身代わりとして牢屋に入れられたセリヌンティウス(ヴァサイェガ渉)が、牢番に親友メロスを信じる気持ちを語る。興味深いのは、『少年探偵団』と同じく江戸川乱歩原作の『屋根裏の散歩者』も第四話「罪と罰の散歩者」(4月11日放送)という形になり、川崎皇輝主演でドラマ化されたこと。『屋根裏~』は殺人者の話で少年向きではないが、どんなアレンジをされているのか。
共通点もある少年ドラマ2シリーズだが、決定的な違いもある。
『少年探偵団』は、不思議ムードではあるが、ストーリーはほぼ原作通り。乱歩の書いた世界を見せる。『文豪少年!』は、文豪が描いた物語の本質とともに、ドラマ初主演の少年忍者の演技力を見るものでもあることだ。彼らの演技はまだまだぎこちなくも見える。が、アイドル映画、学園ドラマなどとは一味違う少人数のドラマで、イッセー尾形、小市慢太郎、ふせえりなどとガッツリやりとりすれば、俳優としての可能性も見えるというものだ。
『少年探偵団』は乱歩世界の発見、『文豪少年!』は未来の演技派の発見。その意味で、思い出したくなるシリーズになる気がする。