悪路で突き上げる乗り心地はマイナスポイント

 次に走りと乗り心地だが、走りのほうはドライブに出かける前の予想よりずっと活発だった。

 カーブの多い山道でも千鳥足にならず、結構な踏ん張りを見せる。高速道路のクルーズ感もまずまず。ドライブ中、雨に降られたときに窓に付着した雨粒がどう動くか観察したところ、Aピラー部の小窓の雨粒が風圧で上に吹き上げられるような動きを見せた。

 空力的に不利なワンボックススタイルでも高速道路ではある程度ダウンフォース(クルマが風圧で地面に押し付けられる力。それが大きいほうが安定する)を稼げているものと推察された。

 欠点は乗り心地が少々悪いこと。速度域の高い高速道路、舗装状況の良い幹線道や市街地を走っている分にはそれほど気にならないが、舗装がボコボコだったり路面が大きくうねっているような道路だと突き上げが強めに発生する。

 標準装着タイヤは軽のカスタム系では定番の165/55R15だが、この空気層の薄いタイヤを履きこなすのは結構難しい。スペーシアカスタムはターボでも車両重量が900kgと軽いので、空気層の厚い14インチタイヤでも十分なのだが……。

気になる燃費は下道なら26km/L台も可能

 ターボエンジンは最高出力が軽の自主規制値いっぱいの64ps、最大トルクは10kgmと、性能的には目立って良い数値ではない。速さもタカが知れているのだが、経済性については十分満足が行くものだった。

パラレルハイブリッドの特性を生かして走れば燃費はかなり稼げる印象

パラレルハイブリッドの特性を生かして走れば燃費はかなり稼げる印象

 実測値を紹介すると、長距離ドライブ時がおおむね20~22km/L。都市計画が稚拙なため交通の流れが主要地方都市の中で最も低い部類に入る鹿児島市の市街地オンリーの場合が14km/L前後、郊外路も含めたトータルで17km/Lだった。

 ドライブの最後、愛知から神奈川までの区間ではエンジンの回転がびゅんと跳ね上がるギリギリ手前までのアクセルペダルの踏み加減を心がけて300km強走ってみたが、その効果は絶大で、スピード自体はそこそこ出ていたにもかかわらず25.6km/L。途中、軽スーパーハイトワゴンが苦手とする高速に乗らなければ十分26km/L台に乗ったことであろう。お財布への攻撃性は非常に低いと言えそうだった。

 ポップでそこそこ質感の高い内外装を持ち、十分に便利で経済的で価格も安い──大衆商品としての本分をきっちりわきまえたクルマづくりできたことが、軽自動車の販売台数2位にまで存在感を高めた要因だろう。

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