高速料金の値上げ案も出る軽自動車への風当たり

 一方、販売台数で追い詰められているN-BOXだが、強みが失われたわけではない。軽自動車でここまでできることを証明した素晴らしい静粛性、ホンダは普通車をなぜこういう風にできないのかと思うほどに高いフラット感と低振動、自然吸気エンジンでもモリモリと走れるパワートレインの性能の高さなど、ちょっと乗っただけで歴然とわかる良さを持っているのは強い。

軽人気で不動の販売台数を誇るN-BOX(ホンダ)

軽人気で不動の販売台数を誇るN-BOX(ホンダ)

 加えて、これまで築いてきたブランドパワーも強固だ。N-BOXがそういうクルマだったからこそ、競合モデルもこうして強くなったというのは、市場競争として非常に健全なものがあると感じられた。

 だが、軽自動車メーカーとしてはこの販売好調を喜んでばかりもいられない。懸念材料は軽自動車を取り巻く環境が徐々に厳しくなりそうな気配を見せていることだ。

 その一例は、つい最近構想が明るみに出た、高速道路の車種区分の見直し案。現状、高速道路の1kmあたりの通行料金は軽自動車と普通車で分かれており、軽自動車は2割安だ。国土交通省は軽自動車と普通車の性能差が小さくなったことを理由に、その区分を廃止しようとしているのである。

 こういう改定を試みるとき、国交省が決まって口にするのは公平性だ。が、公平にするなら軽自動車を上げる分、普通車は下げるというのが筋であろう。この料金改定案で行政がアメとして用意しているのは二輪車の通行料金引き下げだが、通行台数で言えば二輪車の比率は非常に小さいので、加重平均を取れば完全な値上げである。

 そもそも二輪車は他の先進国では最初からクルマよりはるかに安く設定されているもの。たとえばオーストリアでは年間パスが乗用車の年間92.5ユーロ(約1万2000円/1ユーロ130円換算。以下同)であるのに対し、二輪車は36.2ユーロ(約4700円)。二輪車は車両重量が軽く、道路にほとんど損傷を与えないので、安く設定するのは恩典でも何でもなく当然のことなのだ。

 そんな当然やるべき二輪車料金引き下げと引き換えに実質値上げを食らいかねない状況の軽自動車。高速道路料金の車種区分だけで済めばまだ傷口は浅いが、今後、自動車関連諸税や強制保険などに値上げが波及したら、軽自動車という制度そのものが終わりを迎えるであろう。

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン