クラス最安の経済性で目立った弱点なし
そんな思わぬ強さを発揮している第2世代スペーシアは果たしてどんなクルマなのか。東京~九州を3600kmほど長駆し、長距離走行、日常使用などさまざまな使用パターンを試してみた。
スペーシアカスタムの前席。シートクッションは上級のソリオに劣るが、疲れはさほど溜まらない印象
テストドライブしたのはシリーズ最上級グレードの「カスタム ハイブリッド XSターボ」。ドライブルートは東京~鹿児島周遊で、乗車人数は本州内は1名、九州内は1~4名。エアコン常時オート。
運転席は視界良好(スズキ・スペーシアカスタム)
まずは総合的印象。スペーシアはとにもかくにもタウンユース向けにバランスよく作られたクルマだった。性能、機能の両面で、これはライバルに比べて圧倒的という傑出した部分がないかわりに目立った弱点もみられない。十分以上に便利に作られ、ほどほどの性能を持ち、経済性も良好だ。
そして、何よりも価格が安い。前車追従式のクルーズコントロールが標準装備で183.6万円は、カスタム系のターボカーとしてはクラス最安である。このバランス型の作りで、ユーザーの好みに合わせてポップなスタイリングの標準形、ドレスアップ的なデザインの「カスタム」、そしてルーフレール装備の遊び系である「ギア」と、3種類のバリエーションを持つのだ。
安くてバランスの良いクルマづくりというのは“言うは易し、行うは難し”。それをやりおおせたことが、ユーザーの支持を集めることにつながっているように感じられた。
スペーシアの兄貴分にあたる普通車「ソリオ」(スズキ)
スズキはスペーシアの上に普通車の「ソリオ」をラインナップしているが、それで長距離ドライブを試したところ、シートのホールドがそこそこ良く、乗り心地もフラットで、小型トールワゴンとしては非常にしっかりした作りがなされていた。時折長距離を走る機会がある、あるいは年間走行距離が長いといったユーザーはそれでカバーできるので、スペーシアを思い切って低価格ファミリーユースに振ることができたのであろう。