連日のように銃乱射事件が起き、国民の不安と不満は爆発寸前になっている(AFP=時事)
アメリカ国内は、バイデン政権がインフレ政策に舵を切ったのを見て、すでにバブルの気配が漂っている。郊外の不動産が急速に売れ始め、住宅ブームが起きつつある。これは見せかけの繁栄にすぎないが、しばらく国民は好景気に熱狂するだろう。日本の小さな島などに何の関心もないのである。
菅首相は、そんなアメリカを訪問する。加藤官房長官は、首脳会談では「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力のほか、コロナ対策や気候変動、それに中国や北朝鮮をめぐる課題などで、日本とアメリカの連携と協力を確認することになると語ったが、どれひとつとしてアメリカ側のメインテーマにはなり得ない。会談がどんな内容になったとしても、日本政府は成果を強調するだろう。しかし、バイデン政権の要求は、中国問題で日本が砦の役目を果たすこと、アメリカに追随して世界的なインフレを後押しすることだ。そこを正しく報じる日本のメディアもなさそうに見える。
■佐藤則男(ニューヨーク在住ジャーナリスト)