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藤波辰爾がアントニオ猪木に額を割られた「思い出の夜」

今も語り継がれる猪木vsアリの「世紀の一戦」(時事)

今も語り継がれる猪木vsアリの「世紀の一戦」(時事)

 生まれたての新日本プロレスは、猪木、藤波らわずか6人のレスラーしかいなかった。

「山本小鉄さんが猪木さんの考えをよく汲んで若手に号令をかけ、昼間は練習、夜はポスター貼りやチケット売りをやっていました。新日本のスタートはそんなものだったのです。それくらい興行にも苦労したんですが、猪木さんはレスラーとしても妥協はなかった。少しでも若手の体がダブついていると、『てめえこのヤロー、練習してんのか!』と活を入れられました」

 前述のとおり、1976年の猪木vsアリ戦以降、新日本はようやく軌道に乗り始めるが、それからもプロレスに対する猪木の厳しい姿勢は変わらなかったという。

「僕がNWAインターナショナル・ジュニアヘビー級の王者になって(1980年)凱旋した頃のことです。巡業が続いて選手の練習にだらけた雰囲気が見えていた。猪木さんがそれに気づいて、『おい藤波、ちょっと来い』と呼ばれていくと、腕立て用の木製用具でいきなり頭をガツンです。額が割れて流血したんですが、すぐに試合だから病院にも行けない。流血した傷口を押さえながら入場したもんだから、お客さんには意味がわからなかったと思いますよ(笑)。猪木さんは、みんなに気合いを入れるために僕を選んだんでしょう」

 猪木は営業部隊にも同じように厳しかったという。昭和のプロレス・ブームを支えたスターたちには、格闘家としての厳しい修業はもちろん、ビジネスマンとしての才覚や組織人としての規律、覚悟も求められた。馬場とともにその頂点に立っていた猪木の「元気ですかー!」が一日も早く聞きたいものだ。

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