完走後、実家に立ち寄り録画をチェック。母の照子(89歳)さんの眼差しが優しい。右は妹の陽子さんと甥の嫁さん
家族、兄弟たちに聖火ランナーの大役を果たしたことを祝福されると、谷津氏は冗談でその場を和ませた。
「だーめだよ、そんなにくっついたら。密だ密!」「山本さん、また40年後に写真、お願いしますよ」
谷津氏がここまで、数々の人生の苦難を乗り越えられたのも、本人の明るく前向きな人柄と、家族の支えがあってのことだろう。
「今日でやっと、モスクワの呪縛は解けました。6月に、義足のプロレスラーとして、リングに上がる予定なんですよ」
好漢・谷津嘉章の「義足の青春」は、まだ終わっていない。
撮影・文/山本皓一