芸能

『レンアイ漫画家』、“漫画家ドラマ”の強み生かした展開と新しさ

熱演した吉岡里帆だったが…

吉岡里帆がヒロインを務める

 4月クールの連続ドラマが続々と始まっているが、鈴木亮平と吉岡里帆の共演で話題を集めているのが『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)だ。漫画家がメインキャラクターで登場するドラマはこれまでもあったが、今作のような“漫画家ドラマ”の強みはどこにあるのか? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 そんなわけでわちゃわちゃと始まった『レンアイ漫画家』。大ヒット恋愛マンガ『銀河天使』の作者で顔出しNGの天才漫画家・刈部まりあこと、刈部清一郎(鈴木亮平)は、令和のリアルな恋愛が描けず、困った末に失業した久遠あいこ(吉岡里帆)に報酬を払うから恋愛しろと命令。あいこは編集者の向後(片岡愛之助)が目を付けた丸の内の独身エリート早瀬(竜星涼)に接近することに成功し、デートにこぎつける。彼女の報告を聞いた刈部は、一気にネームを描きあげる。

 とにかく一話からテンポが速い。そのスタートダッシュパワーの源は、「主人公が漫画家である」ことだ。ドラマなどで描かれる漫画家といえば、締め切りに追われてげっそりしているとか、売れっ子は巨大な屋敷に住んでいるとか、ライバル漫画家と仲が悪いなど、固定イメージがある。どんなに変わり者として出てきても、「漫画家だから」と視聴者が納得しやすい。どうして変人なのか、いちいち説明しないで本題突入できるキャラクターなのだ。

 さらには先生から原稿をもらうため、担当編集者が走り回るのも当たり前。このドラマでも、向後は疑似恋愛を断ったあいこの自宅にまでやってきて勧誘し、狙う早瀬と話が合うように、彼の趣味であるラグビーの知識をあいこに必死に叩き込む。斬新なマンガのためだと言われれば、ありえないようなことでもなんとなく「アリ」になるのが、漫画家ドラマの強みだ。

 思えば私たちは、古くは若き日の藤子不二雄を描いた『まんが道』、近年では個性的な漫画家がいろいろ出てきた『重版出来』や『アオイホノオ』などで、漫画家ドラマをいろいろと見てきた。荒木飛呂彦原作の『岸辺露伴は動かない』に至っては、奇怪な事件にでくわした漫画家・露伴(高橋一生)がリボンやフリルいっぱいのロリータ系ファッションの編集者(飯豊まりえ)と奇怪な事件を追いかける中で、「相手を『本』にしてその過去や秘密を知る」という特殊能力(顔がパッカリ割れてページがペラペラめくれるんですよ!)まで見せる摩訶不思議な場面も目撃してきたのだ。漫画家が出てくれば、もはや視聴者はたいていのことには驚かない。そこで『レンアイ漫画家』がどこまで、新鮮味を出してくるのか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン