鉄道においても現実世界を超越しているが、コナンの世界を現実が上回った部分もある。コナンは1994年から連載を開始。現在まで25年以上の長きにわたって人気になっているマンガだが、作中の時間は半年から1年しか経過していないといわれる。
だが、常に最新の技術を取り入れており、当初は折り畳み式の携帯を使っていた主人公たちが、いまやスマホを使っている。逆に、夢のツールとして登場したはずの阿笠博士が作った「犯人追跡眼鏡」はスマートグラスの、ターボエンジン付きスケートボードは電動キックボードなどの登場で、必ずしも非現実的ではなくなった。手の届きそうな存在になっている。鉄道についても、同じようなことが起きないとも限らない。
国土交通省は、2016年に東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会で「速達性の向上の現状と今後の取組のあり方」について議論している。小委員会で配布された資料には、2000年と2015年における通勤時間帯における所要時間の短縮例が記載され、具体的に「柳瀬川駅→新宿駅」「すずかけ台駅→押上駅」「大宮駅→横浜駅」の3つが例示されている。
例示されたケースは6~11分の時間短縮を実現しているが、国土交通省はその要因を表定速度が向上できたことと分析。国土交通省は、今後の課題としてさらなる表定速度の向上に努めると報告書を結んでいる。こうした議論の流れを見ても、コナンで描かれた時速60キロメートルで走り続ける環状線の電車を非現実的と一笑に付すわけにいかない。
未来の鉄道がコナンの世界に追いつく。そして、追い越す──そんな日が、少しずつ迫っている。