フランスは学校休暇期間をシフト
フランスも、変異ウイルスの感染が相次いでおり、病床が逼迫するなど感染拡大に歯止めがかかっていない。4月には一部地域で行っていたロックダウン(都市封鎖)を他の地域にも拡大する措置がとられている。
併せて、学校休暇期間の2週間シフト(後ろ倒し)を含めて、学校施設を3週間閉鎖することとした。
まず、4月5日からの1週間は、幼稚園から高校まで、すべてリモートラーニング中心とし、施設は閉鎖。12日~25日の2週間は、シフト後の復活祭休暇期間とする。続く26日から、幼稚園と小学校は対面授業に復帰。そして、5月3日から中学校と高校も対面授業に復帰するという。
この間に、医療体制の整備とワクチンの接種を進めて、感染の封じ込めを目指すとされている。フランスは、今年に入って地域間の旅行の禁止や、夜7時から朝6時までの外出禁止など他国に比べて緩めの措置にとどめてきた。4か月間も厳格なロックダウンを行っているドイツや、4回目のロックダウン中のイタリアに比べると、市民に課された制約は緩い。マクロン大統領は、「(フランスは)自由を確保しつつ、感染症をコントロールできた」と自賛している。
パリ近郊の大学で学生と面談するマクロン仏大統領(左/AFP=時事通信フォト)
緩めの措置と学校休暇期間のシフトを併用することで、感染拡大防止のための時間を確保する戦略とみられる。ただ、フランスも第3波の波が高くなっており、新規感染者数が昨年10月末の第2波ピーク時に徐々に近づきつつある。
インドネシアはラマダーン明けの休暇を短縮
インドネシアは、1月下旬に感染のピークを迎えたが、その後、新規感染者数や死亡者数は下げ止まっている。新たな感染の波の襲来に、備えるべき状況が続いている。
インドネシアは、ムスリム(イスラム教徒)の数が世界一多い。イスラム教では今年の4月13日~5月12日の1か月間はラマダーン(断食月)にあたる。この間、教徒は日の出前から日没まで飲食を断つこととされている。5月12日はイド・アル=フィトルと呼ばれるラマダーン終了を祝う祝日で、インドネシアではこの日から8日間が休暇期間とされていた。
インドネシアの首都ジャカルタで金曜礼拝に臨むイスラム教徒(時事通信フォト)
ただ、このラマダーン明けの休暇は、人々が飲食を共にして感染拡大につながる恐れがある。そこで、インドネシア政府はこの休暇期間を5日間に縮小することとした。
実は、同国ではこれと同様の休暇縮小措置を年末年始にも行っている。昨年12月24~27日はクリスマスの祝日、28~31日は(前年の)イド・アル=フィトルの代替祝日、今年1月1~3日は新年祝日とされていて、年末年始に11連休が設定されていた。
しかし、休暇中の感染拡大を恐れて、12月28~30日の祝日を取り消し、連休を合計8日間の休暇に縮小している。連休を縮小することで感染拡大を抑止しようとするイスラム教の国ならでの対応といえるだろう。
インドネシアは感染が収まりつつあったが、3月以降、新規感染者数は下げ止まっている。ラマダーン明けに感染が再拡大する懸念が高まっている。