ブラジルでは5日分の祝日を“前借り”
ブラジルでは、同国で発生したとされる変異ウイルスが猛威を振るっており、新規感染者数、死亡者数とも高い水準が続いている。
コロナ犠牲者を埋葬する親族(ブラジル・アマゾナス州マナウス/AFP=時事通信フォト)
サンパウロ市では3月18日、感染抑制のために市制休日を5日分前倒しする市政令が公布され、即日施行された。
これにより、3月26日(金)、29日(月)、30日(火)、31日(水)、4月1日(木)が祝日に変更された。もともと4月2日(金)は、祝日(キリストの受難日)のため、3月26日~4月4日(日)が10連休となった。
変更された5日分の祝日は、2021年6月3日(聖体祭)、2021年11月20日(黒人崇拝の日)、2022年1月25日(サンパウロ市政記念日)、2022年6月3日(聖体祭)、2022年11月20日(黒人崇拝の日)を前倒ししたものとされている。
来年の祝日まで“前借り”することにより、なんとか連休をつくり出して感染を封じ込めよう、という大胆な動きといえるだろう。ただ、ブラジルでは4月以降、死亡者数が毎週2万人を超える状況が続いており、感染抑制の効果はなかなか見えてこない。
ドイツは4月に5連休をつくろうとしたが…
ドイツはイギリスに比べてワクチン接種が遅れていることもあり、感染拡大が深刻化している。
もともと4月は、2日(復活祭聖金曜日)、4日(復活祭)、5日(復活祭月曜日)が祝日だったが、1日(木)と3日(土)も祝日とすることで、4月1日~5日の期間を5連休にしようとする協議が、連邦政府と州政府の間で進められた。
この間、全土で公共空間での集会を原則禁止し、屋外飲食店も閉鎖すると発表していた。しかし、祝日の追加設定により、「経済活動の喪失は最大70億ユーロ(約9000億円)に上る」(ケルン経済研究所)、「緊急の生産ラインが停止し、大きな問題や相当なコストを引き起こす」(ドイツ機械工業連盟)、「連休前後に来店者が増えるため逆効果」(ドイツ小売業連盟)などの反対の声が上がった。
これを受けて、3月24日、メルケル首相は州政府首相との緊急協議を行い、祝日追加の法制化が時間的な面で困難であることも踏まえて、同措置を撤回し、国民に陳謝することとなった。
新型コロナ規制に抗議するドイツのデモ(ベルリン/AFP=時事通信フォト)
感染拡大防止のためとはいえ、新たな祝日を設定するという大技は、社会の影響範囲が広いため、幅広い合意を得るのに時間がかかることがうかがえる。ドイツは4月以降、第3波の襲来により、新規感染者数が急激に増加しており、昨年12月の第2波ピーク時に迫る勢いとなっている。