休めない職場からの不満も
もう一つは、部署や業務の違いからくる不公平感である。
比較的人員に余裕がある職場や、仕事を柔軟にこなせる業務では週休3日を選択しやすいが、忙しい職場や仕事の融通がつきにくい業務を担当していると週休3日を選択できない。
すると当然、社員の間に不公平感が生まれる。まして同じ会社の人が副業でたくさん稼いだり、頻繁に旅行へ出かけたりするのを見聞きすると、嫉妬心も入り交じって不満はいっそう高まるに違いない。
その背景にも共同体型組織に特有の雇用システムがある。
欧米では基本的に本人の意に反した人事異動や職種転換がない。営業なら営業、経理なら経理で採用され、組織横断的にキャリアを形成していく。会社は変わっても、職種は変わらないのである。したがって、たとえ職種や職場によって労働条件に格差があっても自分が選んだ道であり、自己責任だと割り切れる。我慢できなければ転職すればよい。
それに対し日本では、採用から配属・異動まで基本的に人事部主導で行われる。所属部署も担当業務も本人が選んだものではないのだ。にもかかわらず職場や担当業務によって週休3日を選択できるところと、できないところがあるのは不公平だと感じる者が出てきても不思議ではない。
こうした不満や不公平感は、テレワークの導入に際してすでに表面化している。テレワークができる部署と困難な部署との間で軋轢が生じ、それがテレワークの普及を妨げる一因になっているのだ。