共同体的な連帯感にヒビが入る恐れ
さらに「共同体」ゆえに生じる感情的な反発もある。
日本の会社では「同じ飯を食う」とか「苦楽をともにする」といった表現がなされるように、運命共同体的な意識が底流にある。そのため同僚が会社とは別の世界を持つことに抵抗を感じる人が多い。
自分たちとは違う環境に触れ、社外に人間関係があり、別の収入源があると、「仲間」として受け入れ難いのである。へたをすると週休3日制を選択した社員が、職場で孤立する恐れもないとはいえない。
こうしてみると、問題の根がどれだけ深いかがわかる。選択的週休3日制や副業の推進にとどまらず、テレワークの導入やジョブ型雇用への移行、Uターン社員の採用、「同一労働同一賃金」の実現など、あらゆる働き方改革を共同体型組織の厚い壁が妨げているのである。したがって、そこにメスを入れなければ選択的休3日制の普及にも限界がある。
それが一朝一夕に実現できないとしたら、とりあえず社員が週休3日制を選択しても周囲にしわ寄せが及ばない仕組みをつくるべきだ。また、いったん週休3日を選択しても元に戻れるようにしておくことも必要である。
わが国で選択的週休3日制の導入を議論する場合には、会社と個人の関係だけでなく、職場集団への影響も考慮に入れなければならない。