ビジネス

週休3日制 社員の「不公平感や嫉妬心」が導入のネックになる

週休3日制は日本で本当に根付くのか

週休3日制は日本で本当に根付くのか

 希望する会社員が「週休3日」を選択できる制度の普及に向けた議論が本格化している。すでに導入している企業もあるが、実際に利用している人は少数にとどまっている。そこには制度的な仕組みづくりよりも根深い問題が横たわっている。同志社大学政策学部教授の太田肇氏が指摘する。

 * * *
 政府は「選択的週休3日制」の導入に向けて議論を始めた。休日を活用して副業する人が増えれば成長分野に労働力が供給され、経済の活性化につながる。また働く人にとっても家事や育児、介護との両立がしやすくなり、大学院や専門学校で学ぶこともできる等々、いいことずくめのように聞こえる。

「選択的週休3日制」の提言を取りまとめる自民党の猪口邦子氏(一億総活躍推進本部・本部長/時事通信フォト)

「選択的週休3日制」の提言を取りまとめる自民党の猪口邦子氏(一億総活躍推進本部・本部長/時事通信フォト)

欧米企業とは違う「組織の性格」

 たしかに働き方の選択肢が増える点は評価できるし、それが人材不足対策や生産性向上につながれば、社会全体にとってもプラスになるだろう。実際にオランダやドイツ、スペインなど、ヨーロッパではすでに週休3日制を導入、もしくは試行している国がある。そしてヨーロッパ諸国では、時間あたりの労働生産性もおしなべて日本より高くなっている。

 しかし、実際に企業が選択的週休3日制を導入しようとすると、“わが国特有の壁”にぶつかることを覚悟しておかなければならない。

 それは、欧米企業と日本企業は組織の性格と雇用の枠組みが根本的に異なるところからくる。

 欧米企業では一人ひとりが企業と契約でつながっているのに対し、日本の企業組織は共同体型であり、社員は共同体の一員として働いている。そのため、全員が共同歩調をとらなければ仕事が回らない。

 また共同体であるゆえに平等意識が強く、社員間のちょっとした不公平にも敏感に反応する。選択的週休3日制を導入するうえでも、それが最大のネックになるだろう。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン