ライフ

GWに観たい!文句なしに「映画は娯楽だ」と思える『ダイ・ハード』

『ダイ・ハード』

(c)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

 コロナ禍で家にいる時間が増えたいま、家にいながらにして非日常を味わうなら、映画がいちばん! そこで、「ムシャクシャするからスッキリしたいとき」に観たい作品と、「心がとろけるほどウットリしたいとき」に観たい作品を、映画評論家の渡辺祥子さんとイラストレーターの石川三千花さんに教えてもらった。

◆渡辺祥子さんのセレクト

・スカッとできる映画
『ダイ・ハード』
テロリストのビル占拠に巻き込まれた刑事の孤軍奮闘物語。監督:ジョン・マクティアナン、出演:ブルース・ウィリス、アラン・リックマンほか。1988年・米。131分。
製作30周年記念版 <4K ULTRA HD+2D ブルーレイ/2枚組>6589円★。デジタル配信中。発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン。

・キュンとできる映画
『花様年華』
お互いの伴侶に不倫されていることを知ったチャン夫人とチャウ。隣同士に住む2人の、暗く密やかな交わりを描く。監督:ウォン・カーウァイ、出演:トニー・レオン、マギー・チャンほか。2000年・香港。98分。好評配信中。

『ダイ・ハード』というと、あまりにベタだと思うでしょ? でも、ブルース・ウィリスのアクションが見事。悪役は、英国の舞台俳優で、名優といわれた故アラン・リックマン。B級ではなく、本物の役者が体を張って演じているところが面白いんです。

 かつて、牧野省三監督が「1筋(ストーリー)2抜け(映像)3役者(演技)、これがそろって初めて映画は面白い」と言っていたのですが、『ダイ・ハード』はまさにこれです。何度観ても、テレビでやっているとつい観てしまいます。ほかにもいい映画はありますが、『ダイ・ハード』のように、体に撃ち込んでくるような楽しさはなかなかない。文句なしに「映画は娯楽だ」と思える作品です。

 一方の『花様年華』は、アジア映画特有の情感がある。特に、この作品のしっとりとしたロマンチシズムは抜きん出ています。

 同じアパートの隣り合わせに住んで、男の下心で妻の愛人の奥さんに手を出そうという暗い設定から始まり、だんだん恋の深みに落ちていく。人生の経験を重ねると、どうにもならないことにがんじがらめに縛られる。その中からあふれ出た思いだからこそ、切々と訴えるものがあるんです。大人でないと、この映画の真の魅力はわからないかもしれません。

 マギー・チャンの演技もいい。暗がりに佇んでいるだけで、すごい存在感だなあと思います。そしてトニー・レオン! 色気があって、しかもどこか我関せずみたいな雰囲気だから、「こっち向いて!」と言いたくなる(笑い)。

【プロフィール】
渡辺祥子さん/映画評論家。新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等で活躍中。映画関係者のインタビューも多数。「渡辺祥子のシネマ温故知新」(NHKオンライン)、日経新聞金曜日の映画欄「シネマ万華鏡」などで連載中。

関連記事

トピックス

フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
モサドの次なる標的とは(右はモサド長官のダビデ・バルネア氏、左はネタニヤフ首相/共同通信社)
イスラエルの対イラン「ライジング・ライオン作戦」を成功させた“世界最強諜報機関”モサドのベールに包まれた業務 イラン防諜部隊のトップ以下20人を二重スパイにした実績も
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン