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高市外交の舞台裏での仕掛け

《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す

「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)

「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)

 政権発足直後にトランプ大統領との日米首脳会談、習近平・国家主席との日中首脳会談に立て続けに臨んだ高市早苗・首相。その一方で、米中のトップ外交による両大国の“緊張緩和”にも注目が集まった。台湾有事が懸念されるなか、米国は極東の安全保障のために動くのか、日本は中国の拡大を止められるのか。そうした懸念に対応するための高市外交の舞台裏での仕掛けを、内部証言とともに紐解く――。【全3回の第1回】

SNSで写真を公表する“メンツ潰し”の奇襲

 高市首相と習主席の首脳会談の前後、日中間に激しい火花が散った。

 仕掛けたのは高市首相だ。10月30日の午前中に韓国で開催されたAPEC首脳会議に出席した高市首相は、台湾代表として会議に来ていた林信義・総統府資政と挨拶を交わし、午後5時から首相就任後初の日中首脳会談に臨んだ。

 その夜、自身のXには習主席との首脳会談の写真より先に〈APEC首脳会議前に、控室で台湾の林信義総統府資政と挨拶を交わしました〉と林氏との写真をアップした上で、翌日、その林氏と会談。Xに会談時のツーショット写真を再びアップしたのだ。林氏は元台湾行政院副院長(副首相)で現在は頼清徳・総統の資政(顧問)を務める台湾の大物政治家である。

 中国外交が専門のキヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司氏は「中国に喧嘩を売ったようなもの」として、こう指摘する。

「APEC首脳会議で台湾代表と会ったこと自体は問題ない。歴代首相も公表していないが会っている。外交上、一番まずいのはSNSで写真を公表し、相手の名前と『総統府資政』という肩書きまで載せたことです。中国は高市首相が『一つの中国』の原則に明確に踏み込んできたと受け止める。習氏にすれば、“首脳会談直後にオレのメンツを潰しやがって”とはらわたが煮えくり返っているはずです」

 案の定、中国外務省は「台湾独立勢力に重大な誤ったシグナルを送るものであり、その性質と影響は悪らつだ」と日本政府に猛烈な抗議を行ない、一方、台湾の頼総統は「台湾への支持を表明し、双方の経済・貿易関係深化に努めると述べられた」とSNSで高市首相に謝意を表明した。

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