実際私の知り合いは、カフェの喫煙ルームで一服していたところ、わざわざ禁煙エリアから子連れの母親がやってきて、「子供がいるの!吸わないで!」と激高されたらしい。だったら自分が離れればいいのに、わざわざ「禁煙警察」になって向かっていくのだ。もちろん、禁煙とされている場所で吸うのはNGなので、「喫煙所以外で吸っている奴らもいる」といった訴えは、この場では議論しない。
あ、ことわっておくが私は非喫煙者である。タバコを吸ったのは大学時代の飲み会でチャレンジした1回のみであり、まったくもって「愛煙家」でもなんでもない。
【4】自炊警察
コロナ以降「自粛警察」が登場したが、「まん防」や緊急事態制限により、夜間の外食ができなくなる人が続出した。これについてツイッターで嘆くと「感染拡大を防ぐための措置に文句を言うとはけしからん! 甘えるな! 自炊しろ!」と言い出す「自炊警察」が登場したことがテレビで取り上げられ、ツイッターのトレンドワードにも掲載された。
テレビが「自炊警察」という言葉を作りたいだけという指摘も多数あがったが、そういうことを言い出す人がいたのは事実だ。コロナ禍になってから、より自分の「規範」に合わない人間は徹底的に「甘えてる!」だの「非常識!」だのと叩きたい人々が増殖しているという絶望的状況である。
ごみの分別がトラブルとなることも(時事通信フォト)
【5】ゴミ警察
昨年秋、私は東京から佐賀県唐津市に引っ越したのだが、仰天したのが、月に1日の資源ゴミの日、捨てに行くとゴミ収集場所に高齢男女2人がウロウロしているのだ。最初は何をしているのかと思ったが、彼らは門番のごとく目を光らせ、人々が「正しく」ゴミを出しているのかチェックしているのである。分別は大事だと思いつつも、正直、自分の家のゴミを見られるのはイヤだ。
数ヶ月前、資源ごみの日にビール瓶を出したところ、彼らから「ビール瓶はダメです」とダメ出しが入った。こちらも確認して出しているものの、まだ引っ越して半年と日が浅いため、思わず「エッ、そうでしたっけ……」とスゴスゴ引き下がってしまった。
納得できない状態で空のビール瓶を持ち帰り、自宅で唐津市役所が出しているゴミの分別を再確認したところ、やはり「ビール瓶と一升瓶は資源ごみ」とある。ちなみにジュースや調味料、食品といった瓶については別に「びん類」という日があり、この日に出す。
この2人も私が去った後に調べてくれたようで、後日「すいません、ビール瓶はOKでした」と謝ってくれたが、ナンダカナアという気持ちは残る。ルールを破って回収できないゴミを出す人間が過去にいたからこそ、こうして「ゴミ警察」をしなくてはならないのだろうかなどと想像し、だとするとこの2人にも同情したくなるが、やはりゴミを直接見られるのは「勘弁してくれ」としか思えない。
さて、これら5つ以外にも多数の「警察」は日本に存在する。私のように他人の人生などどうでもいい人間にとっては「警察」になる感覚がさっぱり分からないが、正直、直接自分に迷惑をかけるわけでもない他人を糾弾するよりも、自身の幸せを考え続ける人生の方が生産的だと思うよ。