国内

「マスク警察」「自炊警察」相互監視体制は日本の”伝統芸”か

電車の中でもマスクは必須になった(イメージ)

電車の中でもマスクは必須になった(イメージ)

 この1年3ヶ月のコロナ禍では「自粛警察」や「マスク警察」が登場するなど、自然発生的に見知らぬ他人の“非常識”と思しき行動を取り締まる動きが出た。だが、これは元々「五人組」などの相互監視体制があった日本において、“伝統”にも近いものなのではとネットニュース編集者の中川淳一郎氏は見ている。なぜ人は他人の行動を制限する「警察」になるのか。同氏が考察した。

 * * *
 コロナ騒動以降、私が常々感じているのは「なんで人々はどーでもいい他人の行動に口出ししたくなるの? バカなの?」ということである。屋外でマスクをしていない人間に対して「コラ! マスクをしろ!」なんて言ってくる「マスク警察」はバカの典型例であろう。

 あのさ、飛沫を飛ばさないためにはマスク云々よりも「喋らない」のが大事なの。いちいちマスク越しに興奮しながら注意をしてくる方がどうなんだっつーの! 屋外だったらいちいち注意するでもなく、無言で通り過ぎればいいだろうよ。

 といった時事ネタをまずは出してみたが、「とにかく他人に注意したい警察気取りバカ」を5例振り返ろう。まさに日本の伝統芸のようなものである。いずれも「もしかしたら不快に思うかもしれないが、本来そこまで“反社会的”ではない」「別に犯罪はしてないだろ?」、もっと言えば「他人の行為なんてどうでもいいだろうよ!」といった類である。あくまでも社会が作る「空気」によって悪者にされたものでしかない。

【1】髪の毛の色警察

 今は変わりつつあるが、過去には、髪の毛の色が「黒」以外だった場合、「不良」認定がされる中学校や高校は少なくなかった。地毛の色が薄い人のなかには黒く染めさせられた人もいるほか、「地毛証明書」というものまであるのだという。例えば、両親が日本人でも髪の毛が黒くない場合はあるわけだし、外国の血が入れば髪の毛は黒くならない場合があるが、それが「地毛」であり「染めた」ということではない、という証明書なのだとか。

 もう、バカか! としか思えない。髪の毛の色が学校生活でなんの影響があるのか? 「マネする人が続出して、風紀を乱す」とか「人と違うことをしようとする精神が気に入らない」とか、あるいは「そんなヒマがあったら勉強しろ」とかいう理由なのか知らんが、黒髪を“マネ”するのはOKという理屈もよくわからない。

 一方、大学生・専門学校生は、まったく髪の毛の色などどうでもいいとされている。赤や紫やオレンジや緑など、実に多種多様である。社会人になっても、マスコミ関係やアパレル関係、美容室関係では髪の毛の色は関係ない。ただ、役所では黒以外は「異端」扱いされ、善良なる市民から「おたくの役所の窓口に赤い髪の毛の人がいました! 黒に戻させなさい!」などのクレームが来るという話を聞いたことがある。

 仕事さえできればいいんじゃね?という理屈は通用せず、社会人になっても、とにかく「髪の毛の色が黒以外ではダメなクラスター」が存在するというワケのわからなさである。

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン