投げても超一流の大谷への賞賛はやまない(時事)
しかし、スポーツジャーナリストで「J SPORTS」MLB解説者の出村義和氏は、その心配はないだろうと見ている。
「守備シフトは打者を抑えるために非常に有効な作戦ですが、近年は弊害も指摘されています。シフトに引っかからない打球を打とうと力が入り、“長打か三振か”の大味なバッティングが増えてしまうため、野球のレベルを下げてしまうというものです。ヤンキースなどで活躍し、2015年に引退した強打者のニック・スウィッシャーは、かつて私の取材に“シフトをされると内野手が100人いるように感じる”と話しました。実際、MLBの平均打率は年々下がり続けています。
また、内野手が守備範囲の広さや華麗なグラブさばきを見せる機会も減り、野球の面白味を奪うことにもつながっている。MLBではシフトに対する否定的な意見が少なくないのです。大谷のように“セーフティもあるぞ”と警戒させ、安易にシフトを取らせないプレーは、メジャーのファンにとっても痛快です。報復などすれば、そちらのほうが批判されてしまうでしょう」
投打に加え、足や小技でも魅せる。常識にとらわれない大谷の“三刀流”は、もしかするとシフト全盛のメジャーの歴史まで変えてしまうかもしれない。