慶應・上智・明治で大量に発表された「繰り上げ合格者」
このように志願者激減の中でも、人気を集めた大学・学部はある。ただ、気になるのが倍率(志願者数÷合格者数)だ。
昨年と今年を比べると、上位では専修大・経済が3.8倍→3.2倍、千葉工業大・工が4.8倍→3.7倍、龍谷大・文が4.4倍→3.4倍など、下がっているところが目立つ。志願者が増えたのに倍率が下がるのは、合格者を昨年より多めに出したことに他ならない。
今年も3月末まで大手大学を含めて、繰り上げ合格者を発表している。判明しているだけでも慶應義塾大で1000人以上、上智大で3000人以上、明治大で2000人以上などだ。地元志向の影響もあり、地方の合格者が入学しなかったこともあろう。上位大学がこれだけ繰り上げ合格を出したことで、その下のクラスの大学では定員割れが起きていると考えられる。
倍率が下がるということはそれだけ大学には入りやすくなるということだ。今後ますます少子化が進むことで、大学入試はどんどん無競争時代に近づいていく。そうなると、もはや大学で何を学ぶかを軸に志望校選びを行っていくことになる。
今は将来の就職を考えながら学部を選ぶのが当たり前になってきている。コロナ不況の到来で、来年は医療系や理工系人気が高まる可能性は高い。その一方で、留学などを伴う国際系の学部は来年も人気復活には至らず、狙い目となりそうだ。コロナの感染拡大がどうなっていくかで、来年の人気学部も変わっていきそうだ。
●文/安田賢治(大学通信常務取締役)