多種多様になりサイズも様々になったベビーカー(イメージ)

多種多様になりサイズも様々になったベビーカー(イメージ)

 子育て世帯に向けた取り組みを加速させている鉄道事業者は、JR東日本ばかりではない。ベビーカーのレンタルサービスは、ほかの鉄道会社にも広がりつつある。小田急電鉄は、ターミナルの新宿駅で5月7日からベビーカーのレンタルサービスを開始する。

「弊社はベビー用品の販売をしている会社ですが、2019年にも京王電鉄の渋谷駅で同様のベビーカーのレンタルサービスを実証実験しています。そのときは、アプリなどのシステム面での課題が残り、本格導入には至りませんでした。駅構内は多くの人が行き交いますので、ベビーカーの貸し出し機器を設置する場所を確保することも難しいという点があります。今回、鉄道事業者である小田急が積極的に協力をしてくれたことも後押しして、再びレンタルサービスの実証実験に挑戦することになりました」と話すのは、小田急新宿駅でレンタルサービスを開始するベビードアの担当者だ。

 最近は、公共施設や大型商業施設などでもベビーカーのレンタルサービスを開始している。そうしたレンタルサービスは子育て世帯にとって痒いところに手が届くサービスといえるが、それでもまだ不十分な面もある。なぜなら、公共施設や大型商業施設などのレンタルサービスは施設内のみの利用のため、施設の外に出ることはできないからだ。

 一方、今回、JR東日本や小田急の駅で始まるベビーカーのレンタルサービスは使用エリアを限定しない。駅を拠点に街を回遊できることは、子育てしているパパ・ママにとってもメリットは大きく、鉄道事業者としても大きなセールスポイントになる。

「現在のところベビーカーのレンタルができる駅は18駅ですが、少しずつ設置駅を拡大していくことを今後の課題として検討しています。また、レンタカーやシェアサイクルのように、借りた駅と返す駅が異なる、いわゆる”乗り捨て”を可能にしてほしいといった希望も寄せられています。”乗り捨て”の場合は回送の手間を必要としますので、サービスが始まったばかりの現段階では難しいというのが現状です。とはいえ、運用しながら需要を見極めていき、その後は導入を検討していくことがあるかもしれません」(JR東日本担当者)

 こうしたベビーカーのレンタルサービスにより、乳幼児のいるパパ・ママの外出ハードルは下がるだろう。かたや、レンタルサービス以外にもソフト面から子育て世帯の鉄道利用ハードルを下げようとする鉄道事業者もある。

 2018年、東京メトロは駅を利用する際にベビーカーのルートチェックができるベビーメトロという情報提供サービスを開始した。同サービスは実証実験を経て、おむつ替え設備の有無やエレベーターのある駅出入口の表示、エレベーターの点検時間といった情報が追加されるなど、少しずつ機能を充実させている。こうした情報により、子育て世帯が鉄道を快適に利用できるようになったことは言うまでもないだろう。

 4都府県では、4月25日から緊急事態宣言が発令された。これにより、不要不急の外出自粛が叫ばれている。そのため、わざわざ鉄道に乗って繁華街へと足を運ぶことはないかもしれない。

 しかし、将来を見据えれば子連れ外出の環境を整えることは、鉄道事業者だけではなく行政や社会全体が解決していかねければならない課題でもある。

 鉄道事業者が始めたベビーカーレンタルにより、社会全体がベビーカー乗車への理解を深めるきっかけになることは間違いない。列車内で子連れが日常風景になる日は、少しずつ近づいている。

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