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1枚65円の「シャープマスク」がいまだに売れ続けている理由

抽選回数53回、累計生産枚数は2億枚突破

 すっかり需給環境が安定したマスクには、さまざまなニーズがあるが、そうした中で気になったのが抽選販売で話題となった「シャープマスク」(シャープが生産する不織布マスク)の近況だ。

 安価な不織布マスクが市場に出回るなか、まだ需要はあるのだろうか。そんな思いから調べていくと、驚いたことに抽選回数は53回(5月12日抽選分まで)に及び、3月25日には生産枚数が累計で2億枚に達していたのだ。

 ちなみにコロナ禍以前、2019年度に日本国内で生産されたマスクの総数は14億8300万枚だった。年度は違うものの、異業種から参入したシャープは、わずか1年間で国内生産の13%以上にあたるマスクを生産したことになる。極めて異例の事態である。

液晶パネルも製造可能なクリーンルームで生産されている「シャープマスク」(三重県多気工場)

液晶パネルも製造可能なクリーンルームで生産されている「シャープマスク」(三重県多気工場)

 シャープが不織布マスクの生産に乗り出したのは、昨年のマスク不足の中で、政府(経済産業省)からクリーンルームでの生産要請を受けたことがきっかけだ。3月24日に三重県多気町にある三重工場のクリーンルームで生産をスタートし、11月6日には累計生産が1億枚を突破した。

 12月からは抽選に応募しなくても毎月30枚のシャープマスクが届く「定期便」サービスにも乗り出し、今年3月には企業や自治体向けの大口受注も開始した。それにあわせ、生産量を従来よりも10万枚多い日産80万枚に増加した。この間、「シャープマスク」は、工場がある多気町のふるさと納税の返礼品に採用されている。

マスクを生産しているシャープの多気工場(三重県)

マスクを生産しているシャープの多気工場(三重県)

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