IOCと政府、組織委、東京都は4月に決めるはずだった東京五輪の観客数上限の決定を6月に先送りした。6月時点の感染状況次第で、五輪の入場者数を「5割入場」「一会場5000人」など他の大規模イベントの入場制限に合わせることになった。
約445万枚販売済みだった五輪チケットは「1年延期」で約81万枚が払い戻され、今年3月の「海外客断念」でさらに海外分の60万枚の払い戻しが決まっているが、それでもまだ300万枚以上が売れている。
「観客数5割」などの入場制限がかかると、観客のソーシャルディスタンスのために座席の大幅見直しが必要で、チケット購入者の座席の見直しが不可欠だ。
そのため、組織委員会は「チケット再抽選」のための新システム開発を発注しており、巨額の追加費用がかかるとみられている。新たな五輪IT利権が発生しているのだ。
しかし、座席の再配置など大した難題ではないはずだ。すでに割り当てている番号をキャンセルし、新たに当せん者を決めて通知するだけではないのか。既存の管理システムとパソコン1台あれば十分だろう。
組織委は「大会を運営する職員は、従来からこの期間に採用する予定でした。システム開発についてなど個別具体の検討状況についてはお答えできない」と言うが、無観客や中止の判断を先送りすればするほど、五輪特権階級たちは儲かって笑いが止まらないのである。
※週刊ポスト2021年5月28日号